あれ

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

代名詞[編集]

あれ(れ)、(れ)】

  1. 距離的、時間的、または心理的に、話し手からも聞き手からもとおくにあるものごとや人格を意識されない人、また時節や状況。
    • あれが市役所です。
    • あれは誰?
    • あれはもう昔のことだ。
    • あれからすっかり元気になった。
    • あれほどはひどくない。
    • あれで一体何か面白いのか。
    • あれはあれでいいだろう。
  2. 距離的、時間的、または心理的に、話し手からも聞き手からもとおくにあるひと。(その人を見下した表現とされる)。あいつ。
    • あれにも困ったもんだ。
  3. (古)距離的に話し手からも聞き手からもとおくにある場所。あそこ、かなた。
    • あれに見えるは茶摘みじゃないか
  4. (「あれで」「あれでいて」「あれでも」などの形で)見かけと違って。ああ見えて。案外。意外と。
    • からだの弱さうな、気の弱さうな人であるけれども、あれで却々野心家だとも思つてゐた。(中原中也『逝ける辻野君』)
  5. (「あれだろう」「あれじゃないか」「あれだ」などの形で)事情を確認・説明する際の導入句として。知ってのとおり。たしかこのように聞いているが。自分はこう思うが。
    • 真紀 あなたのお裁縫は、私が見たって、到底卒業の見込みはありゃしないよ。
    あさ子 あら。(悄気て)困るわ。あたし、ちっとも怠けてなんかいやしないのよ。だけど、あれでしょう三年間ちっともお針なんか持たなかったんだもの。そりゃ、女学校の時分はやったけれど。(森本薫『みごとな女』)
    • 「なるほど、これはふしぎなもくねじだね。たしかに出来損いだ。それにしても、よくまあこんなものが出来たもんだ。これはあれだよ。旋盤の中心が何かの拍子に狂ったのだ。だからこっちとこっちとが、よけいに深く削られている。(略)」(海野十三『もくねじ』)
  6. 事物。もの。それ。そのこと。
    • こゝで風俗といふ意味は、勿論広い意味である。フランス語で mœurs といふあれである。(岸田國士『“現代風俗”に就いて』)
  7. (述語に用いられて)おかしい、こまる、具合が悪い、いきすぎだなどのニュアンスを表す。〜何だ。
    • 私が言うのもあれだが、もしあれだったら、そこまでやるのもあれなんで。
  8. 言葉をぼかす。または頭に浮かばない言葉の代わりとして。
    • 久しぶりにあれをしようとしたら急にあれが始まっちゃって。
    • あれのあれをあれしてもらえるとあれなんだけど。

発音(?)[編集]

東京式アクセント[編集]
あ↗れ
京阪式アクセント[編集]
↗あ

関連語[編集]

日本語の指示詞
  近称-) 中称-) 遠称-) 不定称-)
指示代名詞 これ [複数: これら] それ [複数: それら] あれ [複数: あれら] どれ
指示代名詞 こいつ
こちらさま
そいつ
そちらさま
あいつ
あちらさま
どいつ
どちらさま
連体詞 この その あの どの
場所 ここ
こっから
そこ
そっから
あそこ
 
どこ
どっから
方向 こちらこっち そちらそっち あちらあっち どちらどっち
態様 こう
こんな
こんくらい
こんだけ
そう
そんな
そんくらい
そんだけ
ああ
あんな
あんくらい
あんだけ
どう
どんな
どんくらい
どんだけ

翻訳[編集]

感動詞[編集]

あれ

  1. 意外さや驚き、不審、想定と異なる様子に気がついたことなどをあらわす。あ、あら、あれれ、おや
    • あれ、なんか変だぞ。
    • あれまあ、おどろいた。
  2. (古)感動をあらわす

発音(?)[編集]

あ↗れ

名詞[編集]

あれれ】

  1. 荒れること。

発音[編集]

複合語[編集]

動詞[編集]

あれ

  1. あれる」の未然形。
  2. 「あれる」の連用形。
  3. ある」の仮定形。
  4. 「ある」の命令形。

古典日本語[編集]

代名詞:彼[編集]

あれ

  1. (遠くにある人・物・場所・時節などを指して)あれ。
  2. あなた

代名詞:吾[編集]

あれ

  1. 一人称代名詞、わたしわれ
    • あれにもあらねば返しすべくも思はねど(「源氏物語」玉鬘)
      気が気ではなく、返歌をするどころではなく、(渋谷栄一訳)
      返歌などをする気にはなれないのであったが、(与謝野晶子訳)

語源[編集]

日本祖語 *a


北奄美大島語[編集]

名詞[編集]

あれ

  1. 出汁だし