さんま

三麻 および 秋刀魚 も参照。

日本語

語義1b　サンマ属の1種である、サンマ
語義3　秋刀魚、さんま

名詞

さんま【秋刀魚・三摩・三馬・青串魚・夏刀魚】

• 漢字表記「秋刀魚」については当該項目で詳説する。
• 漢字表記「三摩」「三馬」は、現在、市場等で用いるのみ。

1. (分類学, 魚) （サンマ：※片仮名表記限定）
   • a. ［広義］　条鰭綱^(wp)ダツ目^(wp)サンマ科の、サンマ属に分類される魚の総称。体は細長く、全長は35cm前後。頭部は小さく細長く、吻は嘴状に尖っている。背鰭・尻鰭は尾部に寄る。青魚。北太平洋と周辺海域に広く分布。
     • 学名：genus Cololabis。英語名：Saury。和名^(wp)：サンマ属。漢字表記：無し。
   • b. ［狭義］　サンマ属の1種で、古来日本で馴染み深い魚である、サンマ。北太平洋と日本海に分布。日本では秋の味覚を代表する大衆魚。
     • 学名：Cololabis saira。英語名：Pacific saury。標準和名：サンマ。漢字表記：秋刀魚。
2. 《一般認識》（※表記に規定なし）　語義1b（ときに1a）の魚の、分類学に依らない古来の日本語名称。
3. (秋の季語) （秋刀魚、さんま）　語義1bの魚を指す、晩秋の季語。分類は動物。

   • 例句1 ：秋刀魚荷の 一番がつく 残月に　（安井小洒 『杉の實』）

     例句2 ：道玄坂 さんま出るころの 夕空ぞ　（久米三汀 『返り花』）

   • 子季語 ：さいら。初さんま（はつさんま）。秋刀魚網（さんまあみ）。
4. 《隠語》
   • a.　（サンマのような形状をした洋刀を携えていることから、）看守。
   • b.　（看守が携える洋刀の形状がサンマに似ていることから、）洋刀。
   • c.　匕首^(wp)。

類義語

• 「さんま（秋刀魚）」と、古称、および、古い漢字表記

• はりお（はりを） ：源順 『和名類聚抄』 承平年間（931-938年）に「波里乎（ハリヲ）」の名で記載あり。
• さいら（佐伊羅魚）
• さいら（鰶=魚偏に祭） ：※「鰶」の第1義はコノシロ。
• さまな（狭真魚）
• おきさより（沖細魚） ：人見必大 『本朝食鑑』 1695年（元禄8年）に記載あり。
• さんま（三摩） ：『本朝食鑑』に記載あり。織田完之 『水産彙考』 1881年（明治14年）等にも記載。
• さんま（銅哾魚） ：神田玄泉 『日東魚譜』 1741年（元文6年）に記載あり。
• さんま（鱵=魚偏に箴） ：松易遷編 『名物類篇』 1848年（嘉永元年）に記載あり。※「鱵」の第1義はサヨリ。
• さんま（青串魚） ：伊藤圭介 『日本産物誌』（原題「日本地誌略物産弁」） 1872-76年（明治5-9年）に記載あり。大蔵省記録局編 『漁産一斑』 1884年（明治17年）にも記載あり。
• さんま（秋刀魚） ：織田完之 『水産彙考』 1881年（明治14年）に記載あり。これが恐らくは初出。「三摩ヲ秋刀魚（シウタウギヨ）ト云ルハ拠処ナシ」（凡例より）
• しまさより ：『水産彙考』に記載あり。
• さんま（秋光魚） ：農商務省水産局編 『日本有用水産誌』 1885年（明治18年）に記載あり。
• さんま（鰊） ：『日本有用水産誌』に記載あり。
• さんま（小隼） ：大槻文彦編著 『言海』 1889年（明治22年）にのみ記載。
• さんま（鰶=魚偏に祭） ：静岡県漁業組合取締所編 『静岡県水産誌』 1894年（明治27年）に記載あり。
• さんま（西刀魚） ：台湾総督府民生局編著 『台湾総督府民政局殖産部報文』 1896年（明治29年）に記載あり。
• さんま（三馬） ：夏目漱石 『吾輩は猫である』 1906年（明治39年）に記述あり。

引用 ：此間おさんの三馬^{（さんま）}を偸んで此返報をしてやってから、やっと胸の痞が下りた。

派生語

• 秋刀魚網（さんまあみ）
• 秋刀魚寿司/さんま寿司^{（さんまずし）}
• 初さんま（はつさんま）
• 目黒のさんま

翻訳

• 英語: （語義1a） saury ^(en), （語義1b） Pacific saury ^(en)
• 中国語:  (繁): 秋刀魚/ (簡): 秋刀鱼