ばか

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はか も参照。

日本語[編集]

発音[編集]

名詞・形容動詞[編集]

ばか馬鹿莫迦

  1. (蔑称) おろかであること。現代日本語において、一般的に使用される罵倒語。
    • すると主人は失望と怒りを掻き交ぜたような声をして、座敷の中から「この馬鹿野郎」と怒鳴った。この主人は人を罵るときは必ず馬鹿野郎というのがである。ほかに悪口の言いようを知らないのだから仕方がないが、今まで辛棒した人の気も知らないで、無暗に馬鹿野郎呼わり失敬だと思う。(夏目漱石吾輩は猫である』)
    • Kは昨日自分の方から話しかけた日蓮の事について、私が取り合わなかったのを、快く思っていなかったのです。精神的に向上心がないものは馬鹿だといって、何だか私をさも軽薄もののようにやり込めるのです。(夏目漱石こゝろ』)
  2. (古用法) 知的障害精神障害。そのような障害者。
    • この女(ひと)は、どっか大きな家(とこ)の娘で、病気――ばかのようなので、髪を断(き)らして遊ばせてあるのだろう、だから、あんなに無作法なのだと――そう思えたほど、堅気の娘たちとは調和しない奔放さがあった。(長谷川時雨『明治座今昔』)
    • 殿村はさも自信ありげに、落ちつきはらっていうのです。まんざらでたらめとも考えられません。うすばかのようなみょうな顔はしていますけれど、よく見れば、そのギョロリとした両眼には、人の心の奥を見とおすようなするどい光があって、なんとなく、ひとくせありそうな人物です。(江戸川乱歩『妖怪博士』)
  3. おかしなこと、道理に合わないこと。
    • バカを言え。ばかこけ。(「おかしなことを言わないでくれ」「言っていることがおかしい」の意)
    • 夫婦は一心同体だなんて、馬鹿も休み休み言ふがいいや(坂口安吾『私は海をだきしめてゐたい』)
    • おい、笑いごとじゃ無いぜ。忠告するけど、馬鹿もこのへんでやめるんだな。(太宰治人間失格』)
  4. (主に形容動詞として)おかしな道理に合わない。
    • そんな馬鹿なことは考えられません。だから、シムソンはこの事件から除外することが出来、その夜の御馳走をカレー料理と定めることの出来る人、すなわちストレーカ夫婦に我々の注意集中されるわけです。(コナン・ドイル 三上於莵吉訳 『白銀の失踪』 SILVER BLAZE)
  5. (「ばかに」「ばかみたいに」「ばかほど」などの形で)並外れて、異常に、やけに。おそろしく。
  6. (謙遜・自嘲的にも用いるが、自称する時は反語的ニュアンスを持つ)社会常識を逸脱するくらいそのことのみに専念する人。
    • 役者ばか
    • 親ばか(自分の子どもに甘い親、子どもを滑稽なまでに過大評価する親)
  7. 使い物にならないこと。
  8. (主に「ばかをみる」の形で)損、不遇。
    • 正直者が馬鹿を見る。
  9. (主に「ばかにする」「ばかにならない」の形で)ないがしろ蔑視軽視の対象。
    • つまらないものを食って、一向気にしない人間を見ると馬鹿にしたくなる。(北大路魯山人『味覚馬鹿』)
    • 何を馬鹿馬鹿しい、とはじめは嗤い棄てようとしたセトナ王子も、暫く考えている中に、この疑問が決して馬鹿にならないのに気がついた。馬鹿にならないどころか、この疑は、春の沼辺の水草の根の様に、見る見る、彼の心の中に根を張り枝を伸ばして行く。(中島敦『セトナ皇子(仮題)』)
  10. (接頭辞的に)並外れていること。

語源[編集]

諸説あり。以下に数例を示す。

  1. サンスクリット語मोह(moha)」を語源とするもの
  2. はかなし」の語幹とするもの
  3. 史記における秦の二代皇帝胡亥の「鹿をさして馬という(指鹿為馬)」という故事に由来するというもの。最も有名であるが、漢語であるならば「バロク」としか発音せず、「バカ」と読むのは重箱読みであるという問題などあり、語源俗解とされている。

類義語[編集]

派生語[編集]

成句[編集]

翻訳[編集]