ご安全に

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日本語[編集]

感動詞[編集]

ご安全に安全に・ごあんぜんに】

  1. (製造業) 安全気を付けることを呼びかける挨拶。主に製造業建設業といった第二次産業工場工事現場で使われる。
    • 1944年、中山正善「訪炭余録」[1]
      「では戾るよ。君等はしつかり勤めて下さい」「しつかりやります。御安全に」と挨拶を交して切羽で別れました。
    • 2007年、「建設業に働く若者からのメッセ-ジ」厚生労働大臣賞[2]
      今日もご安全に!!
    • 2020年、小泉朋幸「令和2年 年頭所感」[3]
      最後になりますが、令和2年が皆様にとって良い年となりますことを祈念いたしまして、新年の挨拶といたします。本年も「御安全に!
    • 2023年、村田享子、第211回国会参議院[4]
      皆様、御安全に。立憲民主・社民の村田享子です。本日は、日本経済と物づくり産業についてお聞きをします。

語源[編集]

ドイツの鉱山で使われていた挨拶 "Glückauf (de)" が日本へ持ち込まれ、日本語訳されたのが語源と推定される[5]。1947年(昭和22年)には、参議院議員の深川榮左エ門が、国会で

私はこの度九州班に加わりまして、参議院より炭鉱を視察に参りましたが、(中略) 併し炭鉱の中で、炭鉱の鉱夫の皆樣に会いますときは、「お早う」という言葉はないのであります。申しますのは、「御安全に」、「安全に行つてらつしやい」という言葉を私は聞きました。何という眞実なる危險を伴う、本当な叫びであろうと私は考えるものでございます。

と説明している[6]

1953年(昭和28年)からは住友金属工業の挨拶運動として全国の事業所で展開された[5]。1956年(昭和31年)には、三菱炭鉱労働組合連合会会長の松尾亀一が、国会で

私どもがお互い現場で働いておりますときに、仕事から上ってくる者と、これから交代で入って行く者と出会いましたときに、あいさつはどういうことを言うかというと、「御安全に」ということを九州ではいいます。つまり安全に働いてこいよというわけです。

と説明している[7]

関連語[編集]

[編集]

  1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1024623/1/11 (書誌情報:中山正善「訪炭余録」天理時報社、昭和19 https://doi.org/10.11501/1024623
  2. 『平成19年度 「建設業に働く若者からのメッセ-ジ」優秀作一覧』厚生労働大臣賞(厚生労働省ホームページ) https://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/h1025-1b.html 2019年8月2日参照。政府標準利用規約(第2.0版)で公開
  3. 『令和2年 年頭所感』関東東北産業保安監督部東北支部ウェブサイト https://www.safety-tohoku.meti.go.jp/osirase/r02syokan.pdf 2023年5月12日参照。政府標準利用規約(第2.0版)で公開
  4. 「第211回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 令和5年3月9日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121114080X00220230309/86 2023年5月12日参照
  5. 5.0 5.1 「レファレンス事例詳細M12033110412598」岡山県立図書館. レファレンス協同データベース. http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000110555 2019年8月2日閲覧
  6. 「第1回国会 参議院 本会議 第20号 昭和22年8月8日」p. 3. 国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/025/0204/02512010204002.pdf 2019年8月2日参照
  7. 「第25回国会参議院 社会労働委員会公聴会議事録 第2号(昭和31年12月1日)」p. 3. 国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/025/0204/02512010204002.pdf 2019年8月2日参照