もん

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

名詞[編集]

もん

  1. (口語) 形式名詞もの」の撥音化。
    • 1937年、海野十三「棺桶の花嫁」[1]
      お前さんはなかなかしっかりもんだと思って、あたしゃ前から――イエ何さ、しっかりした人だと思ってたのさ。
    • 1955年、三好十郎「樹氷」[2]
      今日はよくも村のもんをなぐつたなあ! 仕返しをしてやるから、喜助を出せえっ!
  2. (口語) 形式名詞「もの」の撥音化。
    • 1944年、岸田國士「火の扉」[3]
      異性の間の愛情つていうようなもんを、へんに神聖に考えるのはおかしいと、あたしは思うの。
    • 1962年、吉田茂「私は隠居ではない」[4]
      いやどうも、ごらんの通り元気でね、この分では当分死にそうもありませんよ、困ったもんです。呵々。

助詞[編集]

もん

  1. (口語) 接続助詞もの」の撥音化。
    • 1927年、宮本百合子「未開な風景」[5]
      だって二十銭も違うんだもん、そりゃそうだろう。
    • 1937年、蘭郁二郎「鱗粉」[6]
      『そりゃそうでしょう。自殺するんなら、――それに若い娘ですもん、こんな人ごみの中で短刀自殺なんかするもんですか、もっと、どうせ死ぬんならロマンチックにやりますよ、全く――』
  2. (口語) 終助詞もの」の撥音化。
    • 1910年、小寺菊子「父の帰宅」[7]
      「兄さんが行かんのなら、私も行くのいやだもん………」
    • 1930年、佐左木俊郎「街底の熔鉱炉」[8]
      「でも、随分変な職業もあるもんね。そりゃ、わたしの職業なんかも、随分変なものには違いないけど……」

同音異義語[編集]

同音漢字Wiktionary:漢字索引 音訓 も#もん

[編集]

  1. 青空文庫(2009年12月8日作成)(底本:「海野十三全集 第4巻 十八時の音楽浴」三一書房、1989(平成元)年7月15日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/3532_37462.html
  2. 青空文庫(2010年5月14日作成、2011年4月2日修正)(底本:「三好十郎の仕事 別巻」學藝書林、1968(昭和43)年11月28日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001311/files/49855_39253.html
  3. 青空文庫(2012年12月22日作成)(底本:「岸田國士全集16」岩波書店、1991(平成3)年9月9日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/files/43848_49634.html
  4. 青空文庫(2018年1月1日作成)(底本:「「文藝春秋」にみる昭和史 第二巻」文藝春秋、1988(昭和63)年3月15日第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001924/files/58230_63642.html
  5. 青空文庫(2002年9月25日作成、2011年12月5日修正)(底本:「宮本百合子全集 第三巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/1973_6874.html
  6. 青空文庫(2002年9月25日作成、2011年12月5日修正)(底本:「怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像」ちくま文庫、筑摩書房、2003(平成5)年6月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000325/files/43438_24885.html
  7. 青空文庫(2011年4月4日作成)(底本:「ふるさと文学館 第二〇巻 【富山】」ぎょうせい、1994(平成6)年8月15日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001425/files/50322_42615.html
  8. 青空文庫(1999年9月10日公開、2005年12月19日修正)(底本:「佐左木俊郎選集」英宝社 、1984(昭和59)年4月14日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000134/files/708_20849.html