よしよし

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日本語[編集]

感動詞[編集]

よしよし

  1. 相手をなぐさめたりあやしたりするのに用いることば。
    • 「こわいよう! お母さん。」と、子供は、火のつくように、叫びました。「おお、よしよし。」と、母親は、我が子をしっかりと抱いたのでした。(小川未明「雲と子守歌」)〔1946年〕[1]
    • いたい所をあらってやる時には、ポチはそこに鼻先を持って来て、あらう手をおしのけようとした。「よしよし静かにしていろ。今きれいにしてきずをなおしてやるからな」(有島武郎「火事とポチ」)〔1952年〕[2]
  2. 相手の願い要求承諾するときに用いることば。
    • 「わたしちょっと買物をしてくるから、番おぼえてて下さいね」と頼んだ。「罐おいてくから、どうぞ見てて下さい、お婆さん」石油焜炉を片手に下げながら婆さんは、往来から拾った吸いのこりのタバコをふかしていた。「よしよし、見ててやるよ」(宮本百合子「赤い貨車」)〔1928年〕[3]
    • 神経痛の連中「注射をたのみます。」「よしよし。」と自分。(北條民雄「続癩院記録」)〔1936年〕[4]
  3. 状況が自分の望みどおりであったり想定どおりであることを表すことば。
    • 半出來の藝妓――淺草のなにがしと札を建てた――活人形をのぞくところを、唐突に、くわら/\、くわら、と蛙に高笑ひをされたのである。よしよしそれも面白い。(泉鏡太郎「木菟俗見」)〔1931年〕[5]
    • 下関なし。敦賀なし。函館もなしと。よしよし。志免君は、すぐに横浜へ電話をかけて、紅海丸の乗客を出帆間際まで調査するように頼んでくれ給え。(夢野久作「暗黒公使」)〔1933年〕[6]
    • よしよし日ごろやっつけられる腹癒せに今日こそ虐めてやれと、私は意地のわるい考えをした。(小栗虫太郎「人外魔境」)〔1940年〕[7]

用法[編集]

人に対して言うときは、目下あるいは同等立場の相手に対して用いるのが一般的。

類義語[編集]

動詞[編集]

よしよし する

  1. (俗語) なぐさめたりほめたりするためになどをなでる

活用[編集]

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  1. 青空文庫(2017年6月25日作成)(底本:「定本小川未明童話全集 13」講談社、1983年1月19日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/files/51554_62134.html 2019年1月12日参照。
  2. 青空文庫(1998年5月25日公開、2007年8月21日修正)(底本:「一房の葡萄」角川文庫、角川書店、1990年5月30日改版37版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/212_19527.html 2019年1月12日参照。
  3. 青空文庫(2002年5月6日作成、2003年7月20日修正)(底本:「宮本百合子全集 第四巻」新日本出版社、1986年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/1978_6567.html 2019年1月12日参照。
  4. 青空文庫(2010年9月19日作成、2011年4月15日修正)(底本:「定本 北條民雄全集 下巻」東京創元社、1980年12月20日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000997/files/46908_40618.html 2019年1月12日参照。
  5. 青空文庫(2017年10月30日作成)(底本:「鏡花全集 巻二十七」岩波書店、1988年11月2日第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/50790_63058.html 2019年1月12日参照。
  6. 青空文庫(2000年12月27日公開、2012年10月5日修正)(底本:「夢野久作全集7」ちくま文庫、筑摩書房、1992年2月24日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2100_49058.html 2019年1月12日参照。
  7. 青空文庫(2003年2月10日作成、2014年7月1日修正)(底本:「人外魔境」角川ホラー文庫、角川書店、1995年1月10日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000125/files/1321_8653.html 2019年1月12日参照。