乙
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漢字
[編集]字源
[編集]- 構形本義不明。古来漢字学者は様々な説を唱えたが決定打がない漢字。
意義
[編集]日本語
[編集]常用漢字
[編集]音 | |
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訓 |
名詞
[編集]乙 (きのと)
形容動詞
[編集]乙 (おつ)
上田万年他『大字典』は「御通」(おつう)の当て字だとしている。江戸時代の通人の呼び名として江戸時代の洒落本などで発祥したか。上田の別の字書『大日本国語辞典』[1]では、『東海道中膝栗毛』五下の「おつな手つきをして、おめへ何をする」と引いている。
活用
[編集]感動詞
[編集]乙 (おつ)
- (インターネットスラング, 略語) おつかれさまの略。「お疲れ」の誤変換由来か、以前からあった若者言葉「おつ」の当て字。
マイナビニュースの説(「「乙(おつ)」の意味とは? 語源や使い方を解説【ネットスラング大辞典】」で)は、若者言葉として「お疲れ様」を「おつ」ということはインターネット普及以前からあったとしており、インターネット普及を1996年とすれば、それ以前からあった用法とする。「乙」の字が当てられたのは「2ちゃんねる」ではないかとしており、それだとすれば2ちゃんねる開設(1999年)以降に「乙」という漢字が当てられたこととなる。
国語学者の内山弘は「お疲れの誤変換由来」とする。(『ネットの日本語 -2ちゃんねるとニコニコ動画を中心に-』地域政策科学研究 7 219-236, 2010-03-10 鹿児島大学紀要 2ちゃんねる用語の若者言葉の語源としては「激しく」→「禿しく」のように誤変換由来が頻出する)。
用法
[編集]「乙でした」と単に相手をねぎらうために用いられることもあれば、相手を特定の立場にあるものだと決めつけて、「自演乙」(自作自演大変だな、お疲れ様)「パクツイ乙」(人のパクリでツイートしてお疲れ様)などと嘲笑しあしらうために用いられることもある。
造語成分
[編集]熟語
[編集]関連語
[編集]文字 | 音 | 五行 | 訓 |
甲 | コウ | 木 | きのえ |
乙 | オツ | きのと | |
丙 | ヘイ | 火 | ひのえ |
丁 | テイ | ひのと | |
戊 | ボ | 土 | つちのえ |
己 | キ | つちのと | |
庚 | コウ | 金 | かのえ |
辛 | シン | かのと | |
壬 | ジン | 水 | みずのえ |
癸 | キ | みずのと |
タイー語
[編集]熟語
[編集]中国語
[編集]- ローマ字表記
名詞
[編集]接頭辞
[編集]動詞
[編集]人名
[編集]- 中国人の姓のひとつ。
朝鮮語
[編集]- ハングル: 을
- 音訓読み: 새 을
- 文化観光部2000年式: eul
- マッキューン=ライシャワー式: ŭl
- イェール式: ul
名詞
[編集]- きのと。
- 二番目。
熟語
[編集]吏読
[編集]チワン語
[編集]ローマ字表記
- 一。
- 序数を表す語句。
ブイ語
[編集]- ローマ字表記
名詞
[編集]ベトナム語
[編集]形容詞
[編集]ắc
- 充分な。
ít
út
- 最年少の。
副詞
[編集]ắt
- (文章語) 確かに。
ngắt
文字情報
[編集]
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- | |
---|---|
日 |
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中 |
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台 | |
韓 |
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漢点字 | 六点漢字 |
---|---|
⢡⡨ | ⠢⠊⠄ |
康熙字典 | 83ページ, 15文字目 |
---|---|
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) | 161 |
新潮日本語漢字辞典 (2008) | 106 |
角川大字源 (1992) | 65 |
講談社新大字典 (1993) | 164 |
大漢語林 (1992) | 89 |
三星漢韓大辞典 (1988) | 167ページ, 7文字目 |
漢語大字典 (1986-1989) | 1巻, 47ページ, 4文字目 |
註
[編集]- ↑ 上田万年、松井簡治『大日本国語辞典』 金港堂書籍、第1巻、1915年10月8日、紙面565ページ、デジタル295ページ、全国書誌番号:43022818、国立国会図書館デジタルライブラリー pid 954645/295
- ↑ 青空文庫(2006年11月19日作成)(底本:「日本の名随筆59 菜」作品社、1997年5月20日第8刷)http://www.aozora.gr.jp/cards/001248/files/46519_25613.html 2018年3月17日参照。これは、たぬきの肉の料理を賞味して乙な味でうまいと褒めているところである。
- ↑ 青空文庫(2009年4月19日作成)(底本:「坂口安吾全集 14」筑摩書房、1999年6月20日初版第1刷)http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42959_34964.html 2018年3月17日参照。これは、登場人物の金サンが仲の悪い源次に喧嘩を売られて「奇妙なこと(=乙なこと)を言うな、源次のくせに」と売り言葉に買い言葉で反論したところである。