余計
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日本語
[編集]この単語の漢字 | |
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余 | 計 |
よ 第五学年 |
けい 第二学年 |
音読み | 音読み |
発音
[編集]名詞・形容動詞
[編集]- 余っていて不要に感じること。またそのようなもの。余分。
- 余計なものを持たない。必要なものだけで足れりとした時に、却って、内面的の生活は開けて来る。(小川未明『文化線の低下』)
- 君のような秀才にはわかるまいが、「自分の生きている事が、人に迷惑をかける。僕は余計者だ。」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。(太宰治『パンドラの匣』)
- 邪魔や迷惑になるなどするため、しないほうがいいこと。ないほうがいいもの。無用。
- われながら、余計なおせつかいだといふ気がしないでもない。しかし、さはらぬ神に祟りなしといふ態度ほど自分をみじめにするものはないと、私は思つた。(岸田國士『「日本人とは?』再刊にあたつて』)
- 「余計な口出しをするな!」/嘉三郎は怒鳴るようにして言い返した。(佐左木俊郎『栗の花の咲くころ』)
- 「女の癖に女学校へ行くなんて余計な事です。女学校へ這入るには試験を受けねばならぬでしょう。試験を受けるために勉強するからといって、うちの仕事をなまけようと思うから、そんな事を云うのです。(略)」(夢野久作『キキリツツリ』)
- より多いこと。程度がより大きいこと。またそのさま。
- 豆を年の数だけとって喰うこともあります。地方によっては、一つだけ余計に喰べる処もあります。(折口信夫『鬼を追い払う夜』)
- 二人は雨の日に銀座の散歩に来たといふことを少しも後悔はして居ない。/「濡れるぞ、もつとこつちへ寄り給へ、情味は薄暮れの銀盤をゆくごとしだね」/私はかう言つて彼の方に余計に洋傘をさしかけながら、雨の路面を見た。(小熊秀雄『雨中記』)
- それまで以上に程度が増すこと。なおさら。一層。さらに。
- 顔の長い人が鳥打帽を冠ると余計に顔が長く見えるという説があるが、これもなんだか関係がありそうである。(寺田寅彦『観点と距離』)
- 西洋の犬は日本の犬のように人を見ても吠えたりおどしたりしない、その犬たちが秋から冬はよけいにおとなしく人なつこくなる。(岡本かの子『巴里の秋』)
- 分量や程度が減ったほうがいい状況で、逆に増すこと。かえって。
- やっと窓際の席がとれて、珍しいことと喜んだのも束の間、硝子が破れているので、雪を雑えた零下十度の風が遠慮なく吹き込んで来る。(中略)前に坐っている五十余りの闇商人らしい男が、風呂敷を窓にあてがっているが、どうも巧くとまらない。(中略)風呂敷がばたばたと風にあおられて、五月蠅いばかりでなく、余計に寒いような気がする。(中谷宇吉郎『硝子を破る者』)
- 多いこと。
- くどいようで失礼ではございますが、女を内へ送ってやる時には、いつでも一番余計に馬の附いている馬車を連れて来るものだと云うことをお忘れにならないようにね。(モルナール・フェレンツ作、森鴎外訳『辻馬車』)
- 斯様な質問に対して躊躇せずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。(夢野久作『鉄鎚』)
副詞
[編集]- それまで以上に程度が増して。なおさら。一層。さらに。
- 分量や程度が減ったほうがいい状況で、逆に増して。かえって。
- 老いて金もなく頼る者もない事は、どんなに悲惨な事だろう。/可哀想なお母さん、ちっとも金を無心して下さらないので余計どうしていらっしゃるかと心配します。(林芙美子『放浪記(初出)』)