前門の虎、後門の狼

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日本語[編集]

成句[編集]

前門ゼンモンとら後門コウモンおおかみ

  1. ある危難を避けたところ別の危難に遭遇する状況のたとえ。
    • 水平線が、とつぜんムクムクと起伏をはじめたかと思うと、みるみる、無数の流氷が「発見」号をおそってくる。船は、あちこちに転針してやっと遁れたが、じつに前門の虎去れば後門の狼のたとえか……極鯨吹きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影のようなものを認めたのだ。(小栗虫太郎 『人外魔境 遊魂境』)
  2. ある難問・災難を解決・回避したとしても、別の難問・災難に直面することが明らかであり、危難を逃れるのが甚だ難しい状況のたとえ。
    • 東も、北も、南も、みな白人の軍隊でかこまれてしまった日本。東には『荒鷲』爆撃機と『ライオン戦車』群、北には赤旗の大群、南には世界一の大海軍。昔の人が『前門の虎、後門の狼』とよんだのは、今の日本の戦略態勢(戦略上のありさま)だ。(平田晋策 『昭和遊撃隊』)

由来・語誌[編集]

「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む(又は「進ましむ」)」の略形。

  • 初出は明代の学者趙弼『評史』中の句「諺曰、前門拒虎、後門進狼、此之謂与」とされる。
  • 中国では李卓吾『史綱評要·周紀』中の句「前門拒虎、後門進狼、未知是禍是福」が初出と扱われている。
  • 中国語において、「前門拒虎,後門進狼」はもっぱら「一難去ってまた一難」の意。
  • なお、この句を起源とする成句「前虎後狼」は、朝鮮語においては「表は公明正大を装い、裏で陰謀を巡らす者」を意味する[1]

関連語[編集]

翻訳[編集]



脚注[編集]

  1. 【噴水台】裏口上場”. 中央日報 (2006年8月22日). 2020年6月26日閲覧。