叙する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

する (じょする)

  1. (他動詞, 文章語) 言葉書き表す
    • 1907年、夏目漱石「虞美人草」[1]
      嬉しからぬ親子の半面を最も簡短に叙するはこの作者の切なき義務である。茶を品し、炭を写したる筆は再び二人の対話に戻らねばならぬ。
    • 1943年、亀井勝一郎「大和古寺風物誌」[2]
      東大寺炎上の状景、この一節によって完璧であろう。壊滅の壮麗を叙し、炎の熱気をさえ感じさせる文章である。
  2. (他動詞, 文章語) (「~~を〔勲章栄典など〕に叙する」の形で)~~に勲章や栄典などを授ける
    • 1918年、志賀重昂、大阪毎日新聞「新猶太国の建造」[3]
      我れ是に於てか紐育に於ける猶太人ヤコブ・シッフ氏(モルガン財閥の対抗者)を早くも勲二等瑞宝章に叙し、次で同旭日章に叙し給いたる明治天皇陛下の御英姿を追懐して已まぬのである。
    • 1932年、寺田寅彦「工学博士末広恭二君」[4]
      生前の勲功によって歿後勲一等に叙し瑞宝章を授けられた。これは学者としてほとんど類例のないことだという。

活用[編集]

叙-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 叙しない 未然形 + ない
否定 叙せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
叙される 未然形 + れる
丁寧 叙します 連用形 + ます
過去・完了・状態 叙した 連用形 +
言い切り 叙する 終止形のみ
名詞化 叙すること 連体形 + こと
仮定条件 叙すれば 仮定形 +
命令 叙せよ
叙しろ
命令形のみ

成句[編集]

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  1. 青空文庫(1999年4月3日公開、2004年1月10日修正。底本:「夏目漱石全集4」ちくま文庫、筑摩書房、1988(昭和63)年1月26日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/761_14485.html
  2. 青空文庫(2017年1月20日作成、2022年2月23日修正。底本:「大和古寺風物誌」新潮文庫、新潮社、2015(平成27)年12月5日84刷改版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001870/files/57496_60805.html
  3. 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 政治(7-010)「大阪毎日新聞 1918.6.10 (大正7)」 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=10091347&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
  4. 青空文庫(2005年5月7日作成。底本:「寺田寅彦全集 第六巻」岩波書店、1997(平成9)年5月6日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/43076_18496.html