弄する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

する (ろうする)

  1. (他動詞)手段を〕用いる。(多くの場合、主語の人物への非難や自虐の意を含んで)〔その場限りの手段を〕自分のために用いる。
    • 1932年、武田麟太郎「日本三文オペラ」[1]
      もちろん、説明者だから口が巧く交渉なぞも円滑に行くだらうと、みんなが考へたためでもあつた。ところが、この男は見かけによらず人が悪くて、小才を弄するのである。
    • 1946年、宮本百合子「家庭裁判」[2]
      戦争に敗けて国民が生活の苦しさにあえいでいる時、賢いと自負している男達の中にはまだまだ小慧しい小細工を弄し政治界等に勢力を張ろうと懸命になっているものがありますが、今こそ女の人はほんとうに賢くなり正しく立派な自分達のための代表者を選び出さなくちゃなりませんよ。
    • 1964年、佐藤春夫「黄金綺譚」[3]
      決して奇を好んで戯言を弄するのではない。わたくしは分に応じ、自分の持つてゐる資格によつてこの議論を披露するのである。

類義語[編集]

活用[編集]

弄-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 弄しない 未然形 + ない
否定 弄せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
弄される 未然形 + れる
丁寧 弄します 連用形 + ます
過去・完了・状態 弄した 連用形 +
言い切り 弄する 終止形のみ
名詞化 弄すること 連体形 + こと
仮定条件 弄すれば 仮定形 +
命令 弄せよ
弄しろ
命令形のみ

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  1. 青空文庫(1999年12月15日公開、2012年9月12日修正。底本:「現代文学大系 44 武田麟太郎・島木健作・織田作之助集」筑摩書房、1967(昭和42)年3月)https://www.aozora.gr.jp/cards/000189/files/1002_20990.html
  2. 青空文庫(2003年9月15日作成。底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/4003_12788.html
  3. 青空文庫(2020年4月28日作成。底本:「定本 佐藤春夫全集 第26巻」臨川書店、2000(平成12)年9月10日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/59309_70969.html