損じる

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日本語[編集]

動詞[編集]

じる (そんじる)

  1. (他動詞) そこなううしなうこわす
    • 1938年、北大路魯山人「料理の妙味」[1]
      次に心得べきことは、すべてのものはみな各自独特の味、持ち前の味をもっている。これを生かすということである。少なくとも、これを損じてはいけない。
    • 1946年、太宰治「親友交歓」[2]
      ここは何としても、この親友の御機嫌を損じないように努めなければならぬ。
  2. (自動詞) 本来の状態がそこなわれた。こわれる
    • 1938年、岡本かの子「老妓抄」[3]
      電気の仕掛けはよく損じた。近所の蒔田という電気器具商の主人が来て修繕した。
    • 1946年、豊島与志雄「塩花」[4]
      上衣の腕ポケットにわざと無雑作らしくつきこんだハンカチは、縁に空色の縫い取りがしてあった。少し洗いざらしで地質が損じてるのは残念だったが、綺麗でさえあればよく、実際に使用することはないものだった。
  3. (動詞連用形に接続して)失敗する。機会のがす
    • 1927年、小出楢重「楢重雑筆」[5]
      アルコールは主として速乾を洗い落すのです、あるいは手先きのよごれた時や、ガラス面の掃除に使用します。また描き損じた絵を洗い落すにもアルコールが一番重宝であります。
    • 1958年、吉川英治「新・水滸伝」[6]
      「ふざけるな。おれの棒術は見せ物じゃない。おつなことをいうからには、てめえも多少の心得はあるんだろう。さ、叩きのめすから、受けてみろ。受け損じたら、命はねえぞ」

発音[編集]

そ↗んじる そ↗んじ↘る

活用[編集]

複合語[編集]

関連語[編集]

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  1. 青空文庫(2013年5月14日作成)(底本:「魯山人味道」中公文庫、中央公論社、2008(平成20)年5月15日改版14刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001403/files/54989_50789.html
  2. 青空文庫(1999年1月1日公開、2009年3月2日修正)(底本:「ヴィヨンの妻」新潮文庫、新潮社、1996(平成8)年6月20日88版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2271_34630.html
  3. 青空文庫(1999年5月5日公開、2005年9月27日修正)(底本:「老妓抄」新潮文庫、新潮社、1998(平成10)年1月15日52刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42720_28797.html
  4. 青空文庫(2001年7月17日公開、2007年8月29日修正)(底本:「豊島与志雄著作集 第四巻(小説Ⅳ)」未来社、1965(昭和40)年6月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42720_28797.html
  5. 青空文庫(2002年12月17日作成、2014年7月28日修正)(底本:「小出楢重随筆集」岩波文庫、岩波書店、1987(昭和62)年8月17日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000259/files/3552_8139.html
  6. 青空文庫(2018年12月24日作成、2019年2月16日修正)(底本:「新・水滸伝(一)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2013(平成25)年2月1日第41刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/56146_66716.html