案じる

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

じる (あんじる)

  1. (他動詞) 心配する。
    • 1926年、佐左木俊郎「土竜」[1]
      市平がいなくなって以来、彼のことは殆んど思い諦らめ、折々思い出しても、ただ身の上を案じているに過ぎなかったのだが、最近になって、ああして手紙を寄越されて見ると、梅三爺は市平を呼び寄せたいような気がした。
    • 1954年、北大路魯山人「陶芸家を志す者のために」[2]
      殊に私の作っています陶器は、日本に於ても唯一人独得の行き方をしており、作柄も類例のないような変り方でありますので、日本に在ってさえ後輩に伝える言葉に窮しておる始末ですから、国情を異にする当米国では私の申し上げる意味がうまく通じますか、それを案じております。
  2. (他動詞) じっくり考える
    • 1939年、大阪圭吉「三の字旅行会」[3]
      ところがこの方の仕事も自分の手でやっている三角太郎氏は、今朝あたりもう大阪で捕まっている筈の、同類の『支部長』と一計を案じ出して、運賃詐欺をしはじめたのだ。
    • 1941年、太宰治「風の便り」[4]
      共鳴、親愛、納得、熱狂、うれしさ、驚嘆、ありがたさ、勇気、救い、融和、同類、不思議などと、いろいろの言葉を案じてみましたけれど、どれも皆、気にいりません。重ねて、語彙の貧弱を、くるしく思います。

活用[編集]

派生語[編集]

関連語[編集]

翻訳[編集]

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  1. 青空文庫(2007年7月23日作成、底本:「佐左木俊郎選集」英宝社、1984(昭和59)年4月14日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000134/files/46183_27727.html
  2. 青空文庫(2014年10月13日作成、底本:「魯山人陶説」中公文庫、中央公論社、2008(平成20)年11月25日12刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001403/files/55081_54778.html
  3. 青空文庫(2006年9月20日作成、底本:「日本探偵小説全集12 名作集2」創元推理文庫、東京創元社、1999(平成11)年11月19日3版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000236/files/1272_24382.html
  4. 青空文庫(2000年4月1日公開、2004年3月4日修正、底本:「太宰治全集4」ちくま文庫、筑摩書房、1988(昭和63)年12月1日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/283_15064.html