禁じる

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

じる (きんじる)

  1. (他動詞) 禁止する。
    • 1927年、平林初之輔「悪魔の聖壇」[1]
      ある時は私のたのんだ小説を買ってきて、二時間も私によんできかしてくれました。医師は読書を禁じていましたが、私が無理にせがんだのです。
    • 1951年、宮本百合子「世界は求めている、平和を!」[2]
      国連憲章は第二条第四項で、領土保全と政治的独立に対して武力をもって脅威することを禁じている。
    • 1955年、浜本浩「甘い野辺」[3]
      菓子を禁じられた子供たちは、いろいろと代用になるものを探して食べた。それは私たちだけではなく、どこでも田舎の子供なら同じことかもしれない。
  2. (他動詞) (「禁じ得ない」などの形で)何かの気持ちや思い、またはそれらから起こる行動をおしとどめる
    • 1911年、谷崎潤一郎「秘密」[4]
      私は毎夜俥に揺す振られながら、此処か彼処かと心の中に憶測を廻らす事を禁じ得なかった。
    • 1925年、豊島与志雄「香奠」[5]
      「そうでしょう。私もそんな風にゆきたいんです。」思いつめたようなその言葉の調子に、私は快い微笑を禁じ得ませんでした。
    • 1936年、海野十三「深夜の市長」[6]
      昨夜お照の話では、隣りは畳を剥いであったというのに、昨夜遅く越して来た隣家の女は、夜逃げをしてきたにしろ、一体何の上に睡ったことであろうか。僕はまだ見ないけれど、その女の身の上に、いたく同情を禁じ得なかった。
    • 1955年、新村出「『広辞苑』後記」[7]
      更に、我洋画壇の巨擘安井曽太郎画伯が親しく装幀の労を執られ、巧みに『広辞苑』の書格を表現せられたことに対し、編者として深い感銘を禁じ難い。

活用[編集]

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  1. 青空文庫(2010年10月28日作成)(底本:「平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕」論創社、2003(平成15)年11月10日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000221/files/48004_41347.html
  2. 青空文庫(2003年9月14日作成)(底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3498_12404.html
  3. 青空文庫(2020年2月21日作成)(底本:「「あまカラ」抄1」冨山房百科文庫、冨山房、1995(平成7)年11月13日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/002093/files/59879_70455.html
  4. 青空文庫(2016年9月9日作成、2021年10月5日修正)(底本:「刺青・秘密」新潮文庫、新潮社、2014(平成26)年6月5日87刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/57349_60032.html
  5. 青空文庫(2007年11月27日作成)(底本:「豊島与志雄著作集 第二巻(小説2」未来社、1965(昭和40)年12月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42433_28809.html
  6. 青空文庫(2010年10月10日作成)(底本:「海野十三全集 第3巻 深夜の市長」三一書房、1988(昭和63)年6月30日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/1219_41193.html
  7. 青空文庫(2018年7月27日作成)(底本:「新村出全集第九巻」筑摩書房、1972(昭和47)年11月30日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001938/files/58498_65481.html