虎穴に入らずんば虎子を得ず
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日本語
[編集]成句
[編集]虎穴に入らずんば虎子を得ず (ゆれ:「虎子」を「虎児」とするもの)[1]
- (「虎が住んでいる穴に入らないなら虎の子を得ることは出来ない」ということから)危険な事を行なわないなら成功できない事の例え。
- 劉封は「配下の兵は、大変に疲れた模様に見受けられます。しばらく、ここで休息を与えられたらいかがです?」と進言したが、黄忠は首を振り、「古より、虎穴に入らずんば虎児を得ずといわれている。身を捨ててこそ、手柄も高名もあがる。息ついてはならぬ。者ども進めッ」と、みずから真ッ先に立って鼓舞した。(吉川英治 『三国志 図南の巻』)
- もちろん、真昼の街上だから、脱走しようと思えば決して不可能ではないだろう、しかし万三郎は決意した。――虎穴に入らなければ虎児は獲られない、むしろこれは好い機会だ、敵のふところへ入れば、つなの消息がわかるかもしれない。――うまくゆけば、敵の正体を(たとえその一端でもよい)探知することができるかもしれない。彼はそう決心したのであった。(山本周五郎 『風流太平記』)
類義語
[編集]由来
[編集]- 『後漢書』班超伝の一節。
- 超曰「不入虎穴,不得虎子。當今之計,獨有因夜以火攻虜,使彼不知我多少,必大震怖,可殄盡也。滅此虜,則鄯善破膽,功成事立矣。」
訓読文
- 超曰く「虎穴に入らずんば虎子を得ず。当今の計、独(た)だ夜に因りて火を以て虜使(りょし)を攻むること有るのみ、彼をして我の多少なるを知らざらしむれば、必ず大いに震怖し、殄盡すべし。此の虜を滅すれば、即ち鄯善破膽し、功成り事立たむ。」[2]
現代語訳
- 班超が言うには「虎の巣穴に入らないなら虎の子は得られない(危険を冒さないなら成功できない)。現在の計略としては、夜に鄯善(服属後の匈奴の一支族)の使者の宿営を火攻めにすることだけであり、使者にこちらの人数が少ないのを覚らせなければ、(使者は)必ず恐怖に駆られ、殲滅できる。この使者を滅ぼせば鄯善は恐れおののき、我らは功績を挙げられるだろう。」