付録:日本語の活用

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語の動詞形容詞形容動詞助動詞活用する。ここでは、学校文法にもとづいて、現代日本語(口語)と古典日本語(文語)の活用について解説する。

現代日本語(口語)[編集]

概説[編集]

日本語における活用とは、その語で文が切れるか後に他の語が続くかによって、続く場合はどのような語が続くかによって、語尾が変化することをいう。活用する品詞は、動詞形容詞形容動詞助動詞の4つである。

例えば、動詞の「読む」という単語であれば、「読ない」「読だ」「読う」「読」などと、同一の動詞であるにもかかわらず語尾の形が変化する。これらの活用によって変化している「ま」「ん」「も」「め」の部分を活用語尾あるいは単に語尾と呼ぶ。一方、「読(よ)」の部分は変化しない。これを語幹と呼ぶ。活用がある語を活用語と呼ぶ。

現代日本語の活用形は、未然形連用形終止形連体形仮定形命令形の6種類で分類される。これらの名称は、それぞれの活用形の意味や機能から付けられた名称だが、実際に使われる意味や機能は様々で、名称は便宜的なものとみなした方がよい。学校文法は古典文法を土台に作られているため、現代日本語では存在しない活用形もある。

未然形
動作や作用がまだ起こっていないことを意味する助動詞に付くことから名付けられた活用形。ただし、他の意味の助動詞にも付く。 また、形容詞、形容動詞、それらの活用型の助動詞で付くことがあるのは「」だけである。
  1. 助動詞「ない」「よう」「」「れる」「られる」「させる」「せる」などに接続する。
    • 読まない」「高かろう」「きれいだろう」
  2. 必ず助動詞を伴い、単独で使われない。
連用形
他の用言に接続することから名付けられた活用形。
  1. 続く用言を修飾する。
    • 読み始める」「高く上げる」「きれいにする」
  2. 文を途中で一旦中止させる。
    • 「本を読み、知識を得る」「質は高く、値段も安い」
  3. 助詞「」に接続する。
    • 「本を読みに行く」「お読みになる」
  4. 助動詞「ます」「たい」「」などに接続する。
    • 読みます」「高かった」
  5. 動詞が名詞に転成する。
    • 「さっきの走りはよかった」「あなたの望みが知りたい」
  6. 動詞が他の動詞に付いて複合動詞を作る。
    • 説き伏せる」「泣き叫ぶ」
終止形
文を止めるときに使用することから名付けられた活用形。
  1. 平叙文・普通体・非過去で言い切って文を止める。
    • 「今日は本を読む」「建物が高い」「部屋がきれい
  2. 助動詞「そうだ」「らしい」などに接続する。
    • 読むそうだ」「高いらしい」
  3. 助詞「けれども」「から」などに接続する。
    • 「値段は高いけれど、質はよい」「部屋がきれいだから、気持ちがいい」
連体形
体言(名詞)に接続することから名付けられた活用形。
  1. 名詞を修飾する。
    • 「今日読む本」「高い値段」「きれいな部屋」
  2. 助動詞「ようだ」などに接続する。
    • 読むようだ」「きれいなようだ」
  3. 助詞「だけ」「ので」「」などに接続する。
    • 「本を読むだけだ」「値段が高いので、質はよい」「部屋がきれいなのが、気持ちいい」
仮定形
仮定を表す際に使用することから名付けられた活用形。
    • 助詞「」に接続する。
    • 読れば」「高ければ」「きれいならば」
  1. 単独で使われない。
命令形
命令に用いることから名付けられた活用形。
  1. 命令、願望、放任などの意味で文を止める。
    • 「本を読め」「雨よ降れ」「勝手にしろ
  2. 助詞「よ」に接続する。
    • 「本を読めよ」

動詞[編集]

現代日本語の動詞の活用は、五段活用上一段活用下一段活用サ行変格活用カ行変格活用、の5種類で分類される。動詞は、これらのいずれかの活用を行う。

五段活用[編集]

五段活用は、活用語尾の先頭に五十音図の各段の音が現れる活用形。ただし、サ行の活用を除いて、連用形には音便形イ音便促音便撥音便)がある。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -a / -o -i / 音便形 -u -u -e -e
カ行 か / こ き / い
ガ行 が / ご ぎ / い
サ行 さ / そ
タ行 た / と ち / っ
ナ行 な / の に / ん
バ行 ば / ぼ び / ん
マ行 ま / も み / ん
ラ行 ら / ろ り / っ
ワ行 おも わ / お い / っ
接続する語の例 ない / ます / そうだ ことようだ

いらっしゃる」「おっしゃる」「くださる」「ござる」「なさる」の5つはラ行五段活用だが、他のラ行五段活用と異なり、連用形と命令形でイ音便の活用形を持つ。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -a / -o -i / イ音便 / 促音便 -u -u -e -e / イ音便
ラ行 いらっしゃ ら / ろ り / い / っ れ / い
接続する語の例 ない / ます / ます / そうだ ことようだ /

上一段活用[編集]

上一段活用は、活用語尾の先頭に五十音図のイ段が現れる活用形。音便形はない。「見る」のような二拍の動詞では語幹と活用語尾に分けることができない。このような語は、語幹と活用語尾の区別がないなどと解釈される。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -i -i -i -i -i -i ろ / -i
ア行 いる いる いれ いろ / いよ
カ行 () きる きる きれ きろ / きよ
タ行 ちる ちる ちれ ちろ / ちよ
ナ行 () にる にる にれ にろ / によ
ハ行 () ひる ひる ひれ ひろ / ひよ
バ行 びる びる びれ びろ / びよ
マ行 () みる みる みれ みろ / みよ
ラ行 りる りる りれ りろ / りよ
接続する語の例 ない、よう ます、た そうだ こと、ようだ よ / (無し)

下一段活用[編集]

下一段活用は、活用語尾の先頭に五十音図のエ段が現れる活用形。音便形はない。上一段活用と同様に、「得る」のような二拍の動詞では語幹と活用語尾に分けることができない。「歩ける」のような五段活用動詞が下一段化してできる可能動詞は、命令形がない。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -e -e -e -e -e -e ろ / -e
ア行 () える える えれ えろ / えよ
カ行 ける ける けれ けろ / けよ
ガ行 げる げる げれ げろ / げよ
サ行 せる せる せれ せろ / せよ
ザ行 ぜる ぜる ぜれ ぜろ / ぜよ
タ行 てる てる てれ てろ / てよ
ダ行 () でる でる でれ でろ / でよ
バ行 びる びる びれ びろ / びよ
ナ行 かさ ねる ねる ねれ ねろ / ねよ
ハ行 () へる へる へれ へろ / へよ
バ行 ベる ベる ベれ ベろ / ベよ
マ行 める める めれ めろ / めよ
ラ行 れる れる れれ れろ / れよ
接続する語の例 ない、よう ます、た そうだ こと、ようだ よ / (無し)

くれる(呉れる)は、命令形が「くれ」のみとなる。

サ行変格活用[編集]

変格活用は、上記の五段活用、上一段活用、下一段活用に該当しない変則的な活用形の総称。現代日本語ではサ行とカ行のみがある。

サ行変格活用は、「する」とその複合動詞、「接する」のように語幹が音読み漢字一字で促音で終わるもの、「命ずる」のように活用語尾が「ずる」のもの、以上の3種類がある。単独動詞「する」は語幹と活用語尾に分けることができない。「ずる」で活用するものも、ザ行変格活用とは言わず、サ行変格活用という。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
サ行 (語幹) -し / -さ / -せ -し -する -する -すれ -しろ / -せよ
サ行 (する) し / さ / せ する する すれ しろ / せよ
サ行 勉強べんきょう し / さ / せ する する すれ しろ / せよ
接続する語の例 ない / せる、れる / ず、られる ます、た そうだ こと、ようだ よ / (無し)
五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
サ行 (語幹) -し / -せ -し -する -する -すれ -しろ / -せよ
サ行 せっ し / せ する する すれ しろ / せよ
接続する語の例 ない / させる、られる、ず ます、た そうだ こと、ようだ よ / (無し)
五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
サ行 (語幹) -じ / -ぜ -じ -ずる -ずる -ずれ -じろ / -ぜよ
サ行 めい じ / ぜ ずる ずる ずれ じろ / ぜよ
接続する語の例 ない / させる、られる、ず ます、た そうだ こと、ようだ よ / (無し)

カ行変格活用[編集]

カ行変格活用は、「くる」とその複合動詞の1種類だけである。単独動詞「くる」は語幹と活用語尾に分けることができない。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
カ行 (語幹) -こ -き -くる -くる -くれ -こい
カ行 (来るくる) くる くる くれ こい
カ行 やって くる くる くれ こい
接続する語の例 ない、られる、させる、ず ます、た そうだ こと、ようだ

形容詞[編集]

現代日本語の形容詞の活用は1種類のみとなっている。五十音行の違いもない。命令形はない。

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -かろ -く / -かっ -い -い -い (無し)
たか かろ く / かっ けれ (無し)
悲しかなし かろ く / かっ けれ (無し)
接続する語の例 ないなる / そうだ ことようだ

※形容詞の語幹は独立性が高く、動詞とは異なり、語幹のみでもいくつかの用法がある。

  • 助動詞「そうだ」が付く。「終止形 + そうだ」が伝聞の意味であるのに対し、こちらの「語幹 + そうだ」は様態の意味となる。
    • 「高そうだ」「悲しそうだ」
  • 接辞「」が付いて名詞になる。
    • 「高さ」「悲しさ」
  • 話し言葉で俗語的だが、感動詞のように単独で用いる。
    • 「あのビル、高!」「おお、さむ。」

形容動詞[編集]

現代日本語の形容動詞の活用は、2種類で分類する考え方と、1種類のみ見なす考え方がある。いずれにしても、形容詞と同じく五十音行の違いはなく、命令形もない。

2種類で分類する場合は、ダ活用タルト活用の2種類がある。ダ活用が、「きれいだ」「きれいな」のように活用する種類。さらに、丁寧形「きれいです」なども含める。タルト活用が「堂堂たる」「堂堂と」のように活用する種類。タルト活用は連用形と連体形しかない。

1種類で分類する場合は、ダ活用のみである。この場合、タルト活用「-たる」は連体詞と見なし、タルト活用「-と」は副詞を見なす。学校文法はこの考え方を取っている。

市販されている国語辞典でも、タルト活用形容動詞の扱いは割れている[1]。ウィクショナリー日本語版では、前者のダ活用・タルト活用の2種類を採用し、品詞整理する方針を取っている。

ダ活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -だろ -で / -に / -だっ -だ -な -なら (無し)
綺麗きれい だろ で / に / だっ なら (無し)
不思議ふしぎ だろ で / に / だっ なら (無し)
接続する語の例 ないある / なる / そうだ ことようだ
語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -でしょ -でし -です -です (無し) (無し)
綺麗きれい でしょ でし です です (無し) (無し)
不思議ふしぎ でしょ でし です です (無し) (無し)
接続する語の例 けれど ので

※形容詞と同じく、ダ活用形容動詞の語幹は独立性が高く、語幹のみでもいくつかの用法がある。

  • 助動詞「そうだ」が付く。
    • 「きれいそうだ」「ふしぎそうだ」
  • 接辞「」が付いて名詞になる。
    • 「きれいさ」「ふしぎさ」
  • 話し言葉で俗語的だが、感動詞のように単独で用いる。
    • 「まあ、きれい!」「おお、すてき。」

同じ」「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」は、連体形が他と異なる。これらの連体形は、名詞を修飾する用法では語幹のみの形となる。

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
同じおなじ だろ で / に / だっ (語幹のみ) / な なら (無し)
こんな だろ で / に / だっ (語幹のみ) / な なら (無し)
そんな だろ で / に / だっ (語幹のみ) / な なら (無し)
あんな だろ で / に / だっ (語幹のみ) / な なら (無し)
どんな だろ で / に / だっ (語幹のみ) / な なら (無し)
接続する語の例 ない、ある / なる / た そうだ こと / ので、のに

タルト活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) (無し) -と (無し) -たる (無し) (無し)
堂堂どうどう (無し) (無し) たる (無し) (無し)
殺伐さつばつ (無し) (無し) たる (無し) (無し)
接続する語の例 なるする こと

※文語調だが、現代日本語の中で「-たれ」で命令形を取ることもある。

助動詞[編集]

現代日本語の助動詞の活用型は、五段型(動詞五段型)、下一段型(動詞下一段型)、形容詞型形容動詞型特殊型無変化型の6種類で分類される。名称どおり、最初の4つは、五段活用動詞、下一段活用動詞、形容詞、ダ活用形容動詞と同じ活用をする。特殊型は、これらに当てはまらない不規則な活用をする。無変化型は語形が変化しない。無変化型は無活用型などとも呼び、特殊型に含める場合もある。いずれの助動詞も語幹と活用語尾に分かれない。

活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
五段型 たがる たがら / たがろ たがり / たがっ たがる たがる たがれ (無し)
下一段型 させる させ させ させる させる させれ させろ / させよ
形容詞型 たい たかろ たく / たかっ たい たい たけれ (無し)
形容動詞型 ようだ ようだろ ようで / ように / ようだっ ようだ ような ようなら (無し)
特殊型 ます ませ / ましょ まし ます ます (無し) まし / ませ
無変化型 よう (無し) (無し) よう よう (無し) (無し)

古典日本語(文語)[編集]

概説[編集]

古典日本語の活用形は、未然形連用形終止形連体形已然形命令形の6種類で分類される。古典文法では仮定形はなく、代わりに已然形がある。已然形は現代日本語と同じような活用語尾で助詞「」に付くが、意味は異なる。

未然形
名称の由来は現代日本語に同じ。古典日本語では仮定条件「-ば」は未然形を取り、これが「未然形」の本来の由来である。
  1. 助動詞「」「」「まし」「まほし」「らる」「」「しむ」などに接続する。
  2. 助詞「」「」「ばむ」「なむ」などに接続する。
  3. 必ず助動詞・助詞を伴い、単独で使われない。
連用形
名称の由来は現代日本語に同じ。
  1. 続く用言を修飾する。
  2. 文を途中で一旦中止させる。
  3. 助動詞「」「けり」「たり」「」などに接続する。
  4. 助詞「」「して」「など」「」「」「てしか」などに接続する。
  5. 動詞が名詞に転成する。
  6. 動詞が他の動詞に付いて複合動詞を作る。
終止形
文を止めるときに使用することから名付けられた活用形。
  1. 言い切って文を止める。
  2. 助動詞「べし」「らむ」「なり」などに接続する。
  3. 助詞「」「」などに接続する。
連体形
名称の由来は現代日本語に同じ。
  1. 名詞を修飾する。
  2. 準体言を成す。
  3. 係助詞「」「」などと係り結びを成して文を止める。
  4. 詠嘆や余情を表して文を止める。
  5. 助動詞「なり」「ごとし」などに接続する。
  6. 助詞「」「」「」「」「」「かな」などに接続する。
已然形
すでに起こったこと(已に然り)をあらわすことから名付けられた活用形。
  1. 助詞「」「ども」などに接続する。
  2. 係助詞「こそ」と係り結びを成して文を止める。
命令形
名称の由来は現代日本語に同じ。
  1. 命令、放任などの意味で文を止める。

動詞[編集]

古典日本語の動詞の活用は、四段活用上一段活用上二段活用下一段活用下二段活用サ行変格活用カ行変格活用ナ行変格活用ラ行変格活用の9種類で分類される。

四段活用[編集]

四段活用は、活用語尾の先頭に五十音図の四つの段の音が現れる活用形。現代日本語と異なり、音便形はない。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -a -i -u -u -e -e
カ行
ガ行
サ行
タ行
ハ行 おも
バ行
マ行
ラ行
接続する語の例 たりけり べし こと ども (無し)

上一段活用[編集]

現代日本語と同じく、活用語尾の先頭に五十音図のイ段が現れる活用形。動詞「いる」「ゐる」「ひる」「みる」「にる」「きる」およびそれらの複合動詞のみが、上一段活用を行う。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -i -i -i -i -i -i
カ行 () きる きる きれ きよ
ナ行 () にる にる にれ によ
ハ行 () ひる ひる ひれ ひよ
マ行 () みる みる みれ みよ
ヤ行 () いる いる いれ いよ
ワ行 () ゐる ゐる ゐれ ゐよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

上二段活用[編集]

上二段活用は、活用語尾の先頭に五十音図のイ段とウ段が現れる活用形。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -i -i -u -u -u -i
カ行 くる くれ きよ
ガ行 ぐる ぐれ ぎよ
タ行 つる つれ ちよ
ダ行 づる づれ ぢよ
ハ行 ふる ふれ ひよ
バ行 ぶる ぶれ びよ
マ行 うら むる むれ みよ
ヤ行 ゆる ゆれ いよ
ラ行 るる るれ りよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

下一段活用[編集]

現代日本語と同じく、活用語尾の先頭に五十音図のエ段が現れる活用形。動詞「ける」およびその複合動詞のみが、下一段活用を行う。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -e -e -e -e -e -e
カ行 () ける ける けれ けよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

下二段活用[編集]

下二段活用は、活用語尾の先頭に五十音図のエ段とウ段が現れる活用形。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -e -e -u -u -u -e
ア行 () うる うれ えよ
カ行 くる くれ けよ
ガ行 ぐる ぐれ げよ
サ行 する すれ せよ
ザ行 ずる ずれ ぜよ
タ行 つる つれ てよ
ダ行 づる づれ でよ
ハ行 () ふる ふれ へよ
バ行 ぶる ぶれ べよ
マ行 あらた むる むれ めよ
ヤ行 おぼ ゆる ゆれ えよ
ラ行 るる るれ れよ
ワ行 うる うれ ゑよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

サ行変格活用[編集]

古典日本語の変格活用は、サ行、カ行、ナ行、ラ行がある。動詞「」「おはす」およびその複合動詞のみが、サ行変格活用を行う。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -せ -し -す -する -すれ -せよ
サ行 () する すれ せよ
サ行 せっ する すれ せよ
サ行 おは する すれ せよ
(語幹) -ぜ -じ -ず -ずる -ずれ -ぜよ
サ行 めい ずる ずれ ぜよ
サ行 重んおもん ずる ずれ ぜよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

カ行変格活用[編集]

カ行変格活用は動詞「」およびその複合動詞のみである。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -こ -き -く -くる -くれ -こ / -こよ
カ行 () くる くれ こ / こよ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

ナ行変格活用[編集]

ナ行変格活用は、動詞「いぬ」「しぬ」およびそれらの複合動詞のみである。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -な -に -ぬ -ぬる -ぬれ -ね
ナ行 ぬる ぬれ
ナ行 ぬる ぬれ
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり べし こと ば、ども (無し)

ラ行変格活用[編集]

ラ行変格活用は、動詞「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」およびそれらの複合動詞のみである。

五十音行 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -ら -り -り -る -れ -れ
ラ行
ラ行
ラ行 はべ
ラ行 いまそか
接続する語の例 ば、ず、む たり、けり こと、べし ば、ども

形容詞[編集]

古典日本語の形容詞の活用は、ク活用シク活用の2種類で分類される。五十音行の違いはない。シク活用の形容詞を「-し」まで語幹だと見なせばク活用のみに統一できるが、そうすると終止形で活用語尾が無くなるため、便宜的にシク活用を設定する考え方を取る。

ク活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -から -く / -かり -し -き / -かる -けれ -かれ
たか から く / かり き / かる けれ かれ
から く / かり き / かる けれ かれ
接続する語の例 なる / けり こと / べし ば、ど

シク活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -しから -しく / -しかり -し -しき / -しかる -しけれ -しかれ
うつく しから しく / しかり しき / しかる しけれ しかれ
いみ じから じく / じかり じき / じかる じけれ じかれ
接続する語の例 なる / けり、き こと / べし ば、ど

形容動詞[編集]

古典日本語の形容動詞の活用は、ナリ活用タリ活用の2種類で分類される。タリ活用となる形容動詞は、漢語のみを語幹とする。

ナリ活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -なら -に / -なり -なり -なる -なれ -なれ
静かしずか なら に / なり なり なる なれ なれ
愚かおろか なら に / なり なり なる なれ なれ
接続する語の例 なる / けり、き こと、べし ば、ど

タリ活用[編集]

語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
(語幹) -たら -と / -たり -たり -たる -たれ -たれ
堂堂どうどう たら と / たり たり たる たれ たれ
朦朧もうろう たら と / たり たり たる たれ たれ
接続する語の例 なる / けり、き こと、べし ば、ど

助動詞[編集]

古典日本語の助動詞の活用型は、四段型下ニ段型サ変型ラ変型ナ変型ク活用型シク活用型ナリ活用型タリ活用型特殊型の10種類で分類される。

活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
四段型
下ニ段型 らる られ られ らる らるる らるれ (無し)
サ変型 むず (無し) (無し) むず / (んず) むずる / (んずる) むずれ / (んずれ) (無し)
ラ変型 けり (けら) (無し) けり ける けれ (無し)
ナ変型 ぬる ぬれ
ク活用型 べし べから べく / べかり べし べき / べかる べけれ (無し)
シク活用型 まじから まじから まじく / まじかり まじ まじき / まじかる まじけれ (無し)
ナリ活用型 なり なら に / なり なり なる なれ なれ
タリ活用型 たり たら と / たり たり たる たれ たれ
特殊型 ざら ず / ざり ぬ / ざる ね / ざれ ざれ
特殊型 (無し) (無し) (無し)

[編集]

  1. 2020年1月付けの各辞典最新版によると、三省堂国語辞典第七版、新明解国語辞典第七版、学研現代新国語辞典改訂第六版、明鏡国語辞典第二版、現代国語例解辞典第五版は、タルト活用(名称は各辞典により異なる)の形容動詞を認めて、品詞分類している。岩波国語辞典第八版、新選国語辞典第九版、三省堂現代新国語辞典第六版は、この種類の語を連体詞・副詞として扱い、形容動詞の活用は1種類として品詞分類している。旺文社国語辞典第十一版、大辞林第四版、広辞苑第七版は、この種類の語に品詞の表示を行っていない。

参考文献[編集]

  • 会田 貞夫, 中村 幸弘, 中野 博之『学校で教えてきている現代日本語の文法』改訂新版. 右文書院. 2011
  • 金田一 春彦, 金田一 秀穂 (編).『学研現代新国語辞典』改訂第四版. 学習研究社. 2011
  • 林 巨樹 (監修). 小学館辞典編集部 (編).『現代国語例解辞典』第二版. 小学館. 1993
  • 市川 孝, 見坊 豪紀, 遠藤 織枝, 高崎 みどり, 小野 正弘, 飯間 浩明 (編).『三省堂現代新国語辞典』第四版. 三省堂. 2012
  • 宮腰 賢, 石井 正己, 小田 勝 (編).『旺文社全訳古語辞典』第四版. 旺文社. 2011
  • 林 巨樹, 安藤 千鶴子 (編).『古語林』初版. 大修館書店. 1997

関連項目[編集]