huci

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アイヌ語[編集]

カナ表記 フチ

異表記・別形[編集]

  • ahci (アㇵチ) (樺太アイヌ語)

発音[編集]

フ↘チ

名詞[編集]

huci

  1. (家族) 祖母そぼばばあおばあさんおばあちゃん
    • オカケ タ エコㇿ フチ トゥレㇷ゚タ オッ タ[1]
      okake ta e=kor huci turepta or_ ta
      そのあと、お前の婆さんがウバユリ堀りに
    • ソモ キ アコㇿ フチ イコイオマㇷ゚ コㇿ オカアン アイネ[2]
      somo ki a=kor huci i=koiomap kor oka=an ayne
      思わないで過ごし、祖母も私たちの子供をかわいがってくれていたのです。
    • アコㇿ フチ イレス ヒネ オカアン チㇱ コㇿ パテㇰ イレス ワ[3]
      a=kor huci i=resu hine oka=an cis kor patek i=resu wa
      祖母が私を育てていました。祖母はいつも泣きながら育ててくれたのですが、
  2. うばおうな老婆ろうば
    • アコン ヌサ オㇿ ワ カムイ フチ ウテㇰ ワ[4]
      a=kor_ nusa or wa kamuy huci utek wa
      私の幣場からも火の神 がカムイを使いに出して、
    • ㇱコㇿ カムイ フチ ハウェアン クス[5]
      sekor kamuy huci hawean kusu
      ということを火の神の老婆が言うので
    • モシリコロフチ。/アイヌ。アナク。/テヱタワノ。/ヌブルヱカス。/ヱヤイセルマコロ。/ヱヌブンラム。/ネブタラブ。/ヱヤイセルマコロ。/ヱタカルンデ。/ネロクアワ。/ネブタラブ。/ネナンコラ。/チヱヤイセルマク。[6]
      mosir kor huci, / aynu anak / teeta wano / nupur ekasu / eyaysermakor- / enupur_ ram / nep tarap / eyaysermakor- / etakarunte / ne rok awa / nep tarap / ne nankor _ya? / cieyaysermak-
      火の神/国土を司る神よ,/人間というものは/昔から/(自分の)巫力以上に/自身の守護神から/得た巫力で/何かの夢を/自身の背後に/見る/のですが,/(これは)何の夢/なのでしょうか。

格変化[編集]

普通名詞(譲渡可能)の所属変化
人称 単数形 複数形
一人称 ku=kór huci ci=kór huci
二人称 e=kór huci eci=kór huci
三人称 kór huci kór huci
不定称 a=kór huci a=kór huci

関連語[編集]

  • ekási (エカシ)祖父

出典[編集]

  1. 黒川てしめ (1969), “22-4 ウエペケㇾ「アスチヒ イレス」(祖母が私を育てた)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  2. 黒川てしめ (1969), “22-4 ウエペケㇾ「アスチヒ イレス」(祖母が私を育てた)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  3. 黒川てしめ (1969), “22-4 ウエペケㇾ「アスチヒ イレス」(祖母が私を育てた)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  4. 貝澤とぅるしの (1969), “5-2 ウエペケㇾ「スルクマッ チクペニカムイ イカオピューキ」(トリカブトとエンジュのカムイが私を助けた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  5. 貝澤とぅるしの (1969), “4-4 ウエペケㇾ「アオナハ ウェンカムイ オロワ アウㇰ」(父は悪神にとられた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  6. 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-4 inonnoytak (5), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040