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rep

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

アイヌ語

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カナ表記 レㇷ゚

発音

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  • IPA(?): /ɾep/, [ɾep̚]

語源1

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re三つの + -pもの

数詞

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rep (名詞形, 連体形 re, 人数形 ren)

  1. 三つ
    • リㇰ タ ニアウコンタ レㇷ゚ ネ ウエコオピ ワ アン ペ[1]
      rik ta niawkonta rep ne uekoopi wa an pe
      高い所の木の股、三つ又に分かれた所の
    • トゥㇷ゚ ネ レㇷ゚ ネ アオウサトゥ (イェ)[2]
      tup ne rep ne a=ousatu
      二つに三つに斬り散らした。
    • レㇷ゚ ネ ワ アウコオマㇷ゚ コㇿ オカアナイネ[3]
      rep ne wa a=ukoomap kor oka=an ayne
      (兄弟)三人になって、みんなでかわいがって暮らしていたあげく
関連語
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アイヌ語の数詞(名詞形)
1 sinep シネㇷ゚
2 tup ト゚ㇷ゚
3 rep レㇷ゚
4 inep イネㇷ゚
5 asiknep アシㇰネㇷ゚
6 iwanpe イワンペ
7 arwanpe アㇻワンペ
8 tupesanpe ト゚ペサンペ
9 sinepesanpe シネペサンペ
10 wanpe ワンペ
11 sinep ikasma wanpe シネㇷ゚ イカㇱマ ワンペ
20 hotnep ホッネㇷ゚
30 wanpe e-tu hotnep ワンペ エト゚ ホッネㇷ゚
40 tu hotnep ト゚ ホッネㇷ゚
50 wanpe e-re hotnep ワンペ エレ ホッネㇷ゚
60 re hotnep レ ホッネㇷ゚
70 wanpe e-ine hotnep ワンペ エイネ ホッネㇷ゚
80 ine hotnep イネ ホッネㇷ゚
90 wanpe e-asikne hotnep ワンペ エアシㇰネ ホッネㇷ゚
100 asikne hotnep アシㇰネ ホッネㇷ゚
  • 11~19, 21~29, ……は、ドイツ語の ein und zwanzig などとよく似た言い方をする。
  • 40, 60, 80, 100 は、フランス語の vingt を用いた20の倍数法とよく似た言い方をする。
  • 30, 50, 70, 90 は、それぞれに10を足すと40, 60, 80, 100 になるという言い方。
    • 例 wanpe(10) + e-(~で) + tu(2つの) + hotnep(20)
  • 名詞形は、具体形(金田一京助)、数名詞(知里真志保)とも
  • -p/-peを付加したこの形は無生物にも動物にも人にも用いられる

語源2

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名詞

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rep (所属形 repke 又は repkehe) (位置名詞)

  1. おき
    • レㇷ゚ タ ロㇰ ペ[4]
      V rep ta rok pe
      沖にいるものが
    • ボロ・レウイマムチブ・/チブ・ホンクルカ・/レブタロク・カムイ・/ヤタ・ロク・カムイ・/ドノカオルケ・/レノカ・オルケ・/アエヌヹカラ・[5]
      poro re uymam cip / cip hon kurka / rep ta rok kamuy / ya ta rok kamuy / tu noka orke / re noka orke / a=enuyekar
      大きい三艘の貿易船の/船の胴体の表面に/に座す神/陸に座す神の/多くの姿/数多の姿が/彫られている。
    • 「ナ ヘンパㇰ ト カ アナン コㇿ オラウン レㇷ゚ナン ナンコㇿ。」[6]
      na henpak to ka an=an kor oraun rep un=an nankor .
      「あと何日かしたら(沖に)出よう」
    • レボウサチ・/ヤオラヹ・/ヤオウサチ・/レボラヹ・/ウドルフ・/オッケカネ・/ナイバカネ・/オカロクアイネ・/カムイオトブシ・/コヘトットリ・/ネブワアンベ・/ヱコイソイタク・/キロクアワ・/カムイオトブシ・/アコユビ・/イコバクケ/ヱナンキル・/ヱネイタキ・[7]
      rep o usat / yaoraye / ya o usat / reporaye / uturuhu / otke kane / naypa kane / oka rok ayne / Kamuy’otopus / kohetutturi / nep wa an pe / ekoysoytak / ki rok awa / Kamuy’otopus / a=kor yupi / i=kopakke / enankiru / ene itak _hi
      にある熾を/陸の方に寄せ/陸にある熾を/沖の方に寄せ/その間を/突きながら/筋をつけて/いたあげく/カムイオトプㇱに/顔を寄せ耳打ちし/なにやら/話して聞かせて/いたところ/カムイオトプㇱ/兄さんは/私の方に/顔を向け/こう言う。
対義語
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  • ya ()

語源3

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動詞

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rep (自動詞, 1項動詞)

  1. えんたたふしつく

名詞

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  1. えん
    • レㇷ゚ オ ウサッ ヤ オライェ[8]
      rep o usat ya oraye
      炉縁の燠を中央に押しやり
    • シネ アン タ ヤオ…… ヤ オ ウサッ レㇷ゚ オライェ[9]
      sine an ta yaoya o usat rep oraye
      あるとき、 (妻は)いろりの中央の燠を炉縁近くに押しやり、

出典

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  1. 黒川てしめ (1969), “23-5 ウエペケㇾ「ペトウエカリ ウン カムイ」(川の合流地の神)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  2. 平目よし (1969), “19-4 ルパイェユカㇻ「ポイサルンクㇽ」(若い沙流の人)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  3. 貝澤とぅるしの (1969), “5-6 ウエペケㇾ「アロヌマンノチュー トゥレシヒ イカオピューキ」(宵の明星の妹が私 を助けた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  4. 鍋澤ねぷき (1969), “17-4 カムイユカㇻ「カンヌサカチューレ」(クマゲラと ウミスズメ の由来)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  5. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040
  6. 平賀さだも (1969), “10-3 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  7. 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040
  8. 貝澤とぅるしの (1969), “5-4 ウエペケㇾ「ポロシルンカムイ トゥレシヒ アコㇿ」(ポロシルンカムイの妹と結婚した)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  9. 貝澤とぅるしの (1969), “5-4 ウエペケㇾ「ポロシルンカムイ トゥレシヒ アコㇿ」(ポロシルンカムイの妹と結婚した)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月