あど

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日本語[編集]

名詞[編集]

あど迎合

  1. 狂言において、主役のシテ(仕手)の相手役を務める者。能楽でいうワキにあたる者。アド。挨答。
    • あゝら目出たや物に心得たる、アドの大夫殿に、ちよつとげんぞう申ウ、――「楽舞部十二 能楽一」『古事類苑』第36冊、古事類苑刊行会、1927年7月、827頁。
  2. 複数人で芸事などをするときの相手方にあたる者。
    • 中居たいこのわきまへもなきものをあどにしてれんがの会にててがらをとり――「弥味草紙」『洒落本大系』第1巻、林平書店、1932年3月、4頁。
  3. 相手に調子を合わせること。相槌
    • けふはたゞ、殿(侍)の珍らしう興ありげにおぼして、あどをよくうたせ給ふに、はやされ奉りて、――大鏡』和田英松校訂、岩波書店〈岩波文庫・教科書版〉、1932年4月、225頁。

成句[編集]


古典日本語[編集]

副詞[編集]

あど

  1. (疑問の係助詞「か」を伴って)疑問を表す。なんと。
    • わが背子を あどかも言はむ むざし野の うけらがはなの 時なきものを――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、71頁。
    • 上の毛野 あそのまそむら かきムダき れど飽かぬを あどアガせむ――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、114頁。
    • 高麗錦 紐ときけて るがに あどとかも あやにかなしき――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、216頁。
    • こもち山 若かへるでの もみづ迄 寝とわはふ あどかもふ――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、261頁。
    • 小菅ろの 浦吹く風の あどすすか かなし児ろ 思ひ過ごさむ――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、353頁。
    • あど思へモフか あじくま山の ゆづる葉の ふふまる時に 風吹かずかも――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、363頁。
  2. (反語の係助詞「か」を伴って)反語を表す。なんと……か。
    • 常陸なる なさかの海の 玉藻こそ 引けば絶えすれ あどか絶えせむ――松岡静雄『万葉集論究』第2輯、章華社、1934年6月、101頁。