やす

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

助動詞・敬意[編集]

やす

  1. 軽い敬意を表す。
    • 主に近世初期の上方で用いた。
  2. 丁寧の意を表す。
    • 主に近世後期の上方および江戸で用いた。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形 活用型
やせ やし やす (やす) (やせ) やせ(やし) 特殊型
  1. 敬意を表す。
    • 近代以降の上方で用いる。現代では主に京都で命令表現に用いる。
    • おこしやす
    • ここを真っすぐお行きやしたら着きますえ
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形 活用型
やさ やし やす やす やす 特殊型

名詞[編集]

やす

  1. (道具) 刺し捕える枝分かれした鋭い付い漁具

発音[編集]

接頭辞 [編集]

やす

  1. 商品金銭を表す言葉に付き、それが安価であることを表す。
    • 1932年、寺田寅彦「チューインガム」[1]
      ニューヨークでホテルを捜しあてたときに帳場に居たのっぽの番頭がやはりチューインガムを噛んでいた。そうして「イエース」というところを「イエーア」と云うのであった。
    • 1939年、織田作之助「俗臭」[2]
      果して、権右衛門は眠そうな照れ臭そうな顔で帰って来た。皆んなと一緒に行けば権右衛門が勘定を払わねばならぬ、それを嫌ってこそ/\と一人で女郎を買いに行ったのであろうと、三人の意見だった。
    • 1952年、梅崎春生「Sの背中」[3]
      蟹江も酒は大好きでした。しかし月給の身なので、毎日毎晩飲むというわけには行かない。五日に一度とか、一週間に一度とか、せいぜいその程度にしか飲めません。

古典日本語[編集]

発音[編集]

三拍動詞一類(?)

動詞[編集]

やすす】

  1. せる。ほそくなる。
や-す 動詞活用表日本語の活用
サ行下二段活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
する すれ せよ

派生語[編集]

諸言語への影響[編集]

[編集]

  1. 青空文庫、2004年11月24日作成(底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店、1997(平成9)年6月5日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/43256_17035.html
  2. 青空文庫、2012年8月17日作成(底本:「俗臭 織田作之助[初出]作品集」インパクト出版会、2011(平成23)年5月20日初版第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/53805_48295.html
  3. 青空文庫、2016年3月4日作成(底本:「ボロ家の春秋」講談社文芸文庫、講談社、2000(平成12)年1月10日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001798/files/56772_58761.html