挺する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

する (ていする)

  1. (他動詞) 何かのために進んで攻撃不利益を受ける状況に〔何かを〕置く。(主に「身を挺する」の形で用いられる)
    • 1892年、北村透谷「三日幻境」[1]
      龍子は当年六十五歳、元と豪族に生れしが少うして各地に飄遊し、好むところに従ひて義太夫語りとなり、[……]或時は剣を挺して武人の暴横に当り、危道を蹈み死地に陥りしこと数を知らず。
    • 1940年、宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」[2]
      西欧の芸術家、たとえばトルストイなどは、身近な芸術上の巨人として、文学の芸術性と社会性との問題などでは身を挺して苦悩し、その判断に矛盾をも示した芸術家であったと思う。
    • 1949年、中谷宇吉郎「牧野伸顕伯の思い出」[3]
      ただ牧野さんが、その八十九年の生涯の最後の御奉公として、民族を「玉砕」から救うべく、身を挺されたことは事実だと思っている。

活用[編集]

挺-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 挺しない 未然形 + ない
否定 挺せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
挺される 未然形 + れる
丁寧 挺します 連用形 + ます
過去・完了・状態 挺した 連用形 +
言い切り 挺する 終止形のみ
名詞化 挺すること 連体形 + こと
仮定条件 挺すれば 仮定形 +
命令 挺せよ
挺しろ
命令形のみ

[編集]

  1. 青空文庫、2005年10月6日作成(底本:「現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集」筑摩書房、1985(昭和60)年11月10日初版第15刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000157/files/45475_19785.html
  2. 青空文庫、2003年2月17日作成、2005年11月8日修正(底本:「宮本百合子全集 第十一巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/2824_8914.html
  3. 青空文庫、2019年12月27日作成(底本:「中谷宇吉郎集 第六巻」岩波書店、2001(平成13)年3月5日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/57291_69993.html