前尻を売る

日本語

成句

前尻を売る（まえしりをうる）

1. 売春をすること。
   • 何（なん）ぼ前尻（まへしり）を売（う）るが商売（しやうばい）でも、末始終（すゑしじゆう）世話（せわ）になりてえと思（おも）ふ人（ひと）は、唯一人（たつたひとり）だ。――業亭行成「藪の鶯」『人情本刊行会』第8輯、人情本刊行会、1926年8月、再版、358頁。
   • それを好い児といふさへ腹の立つに生長すれば左り団扇（うちは）とは、木更津あたりの噂に聞く娘の前尻（まへしり）を売つて安楽に世を渡るといふことを此与助が仕兼（しかね）ぬと見て左様（さう）云ふ歟（か）、――幸田露伴「荷葉盃」『現代国民文学全集』第35巻、角川書店、1958年10月、41頁。
   • 元よりひろい世間の女のこと、淫奔な者もあれば不しだらな者も少なくないが、総じて町家の女は金で前尻を売るようなことはしなかったので安政以後の女の堕落が目立つのである。――業亭行成『三島市誌』中巻、三島市、1959年5月、425頁。