地の文

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

成句[編集]

ブン

  1. 文章小説などにおいて、制作者により叙述の目的で書かれた部分。文章等から、会話発声引用等が除かれ、方言を含んだ口語表現や隠喩等の抽象性の高い修辞表現は避けられる[1]
    • なお、文楽科白地の文に融け合う美しさに陶然としていたので会話をなるべく地の文の中に入れて、全体のスタイルを語り物の形式に近づけた。(織田作之助 『わが文学修業』)
    • でその愉快さはどこから来るかと云えば、一つは小説のように地の文がないと云うこと、勿論ト書があるけれどもあれはほんの人物の動作とか、言葉の調子とか特種な表情とか、そう云った僅かな注意書で、小説の地の文見たいに重要な役目をするものでなく従属的なものでしょう。ところが小説の地の文になると或場合には、会話よりむしろ重要となって来て、非常にたくさんのものがその中に盛られる。殊に僕の在来のような小説の傾向では幾等ひかえようと思っても、地の文に於て、非常に繊かく描写しがちであった。(豊島与志雄 『戯曲を書く私の心持』)

脚注[編集]

  1. 例外はある。
    宇野浩二氏の作品でたしか「長い恋仲」という比較的長い初期の短篇は、大阪の男が自分の恋物語を大阪弁で語っている形式によっており、地の文も会話もすべて大阪弁である。(織田作之助 『大阪の可能性』)