猫も杓子も

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日本語[編集]

成句[編集]

杓子(ねこもしゃくしも)

  1. もかも。も。
    • 季節に入ってから、季節のものを買うようではもうおそいというのが安子さんの持論である。猫も杓子も手を出すようになるとり古しばかりで好い柄がない。女は買って来た柄が直ぐ気に入らなくなること真に不思議である。――佐々木邦 (1925年). “図書カード:好人物”. 青空文庫. 2023年6月6日閲覧。
    • 事変が戦争に変ると、私の髪は急激に流行はずれになってしまった。町にも村にも丸刈りが氾濫して、猫も杓子も丸坊主、丸坊主でなければ人にあらずという風景が描き出された。――織田作之助 (1945年). “図書カード:髪”. 青空文庫. 2023年6月6日閲覧。
    • 今でこそ、猫も杓子も咄家は袴をはくが、昔は真打でも袴ははかず、座敷(高座以外に招ばれて演ること)から帰りに寄席へきても、楽屋で袴を脱いで、高座へあがった。――三遊亭金馬 (1959年). “図書カード:噺家の着物”. 青空文庫. 2023年6月6日閲覧。

語源[編集]

諸説ある[1]

  1. 「ねこのちよつかい杓子に似たればいふなり[2]」(猫の手が杓子に似ているから)という説。
  2. 女子めこ弱子じゃくしも」「女子めこ赤子せきし[3]」(一人前でない女も弱い子供も)が訛ったという説。
  3. 禰子ねこ釈氏しゃくしも。[4]」(立派な神主も僧侶も)という説。
  4. 家の中にいる猫も、家事をしている主婦(杓子取り)も家から出てくる、すなわち「家内総出」という説[1]

類義語[編集]

出典[編集]

  1. 1.0 1.1 楳垣実語原随筆 猫も杓子も』関書院、1960年9月、1-7頁。
  2. 喜多村信節嬉遊笑覧』下、成光館出版部、1932年7月、5版、558頁。
  3. 物集高見広文庫』第15冊、広文庫刊行会、1917年12月、558頁。
  4. 滝沢馬琴南総里見八犬伝』成文社、1886年6月、50頁。