kĩhaato

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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キクユ語[編集]

語源[編集]

Hinde (1904) は英語 broom に対応するキクユ語「ジョゴウィニ方言」(Jogowini dialect)の訳語として kihato を記録している[1]

発音(?)[編集]

  • IPA: /kèhàːtɔ́ꜜ/
Benson (1964:xxii–xxiii) によると孤立形の声調パターンは「中中高」であるが、前に を置いて Nĩ kĩhaato.「ほうきである。」と言う場合は を含めて「高、高、中、高め」、前に ti を置いて Ti kĩhaato.「ほうきではない。」と言う場合は ti を含めて「高、高、下降、中」となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによって声調の変動が見られる。Armstrong (1940) では mbũri を始めとした makinyaNjoroge〈男性名の一つ〉、nyaga などと同じ「mboriクラス」という声調クラスに分類されている[2]。Benson (1964) では声調クラスの分類は「クラス3」で、他に同クラスの2音節語幹語には、mbembekiugomuku などがある[3]
  • 〔キアンブ方言〕湯川 (1981, 1985) ともに magutakĩheeomohororĩĩhiambembembũrindinohorũrĩmĩmũrumeitimũmũthiariũarĩũmba と同じ「高型」アクセントの名詞であるとしている[4][5]
    • 〔リムル方言〕湯川 (1981:91) によると孤立形は [kèhààtɔ́]。ただし後ろに gĩĩkĩ〈この〉が続く場合は [kèhààtɔ́ ɣèèké]、gĩakwa〈私の〉が続く場合は [kèhààtɔ́ ɣèàkóá]、後ろに がある場合は [kèhààtɔ́ né]、前に がある場合は [né kéhààtɔ́]、前に ti がある場合は [tì kéháàtɔ̀] となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによってアクセントの変動が見られる[4]。なお、ti の高さについてはリムル方言と同じくキアンブ方言に属するナイロビ方言を調査した湯川 (1985:199) で高いと訂正されている[5]
    • 〔ナイロビ方言〕湯川 (1985:200) で孤立形と前に ti がある場合について分析が行われているが、先述の ti の高さの扱いを除けばいずれもリムル方言と同じである[5]

名詞[編集]

haato クラス7(複数: ihaato

脚注[編集]

  1. Hinde, Hildegarde (1904). Vocabularies of the Kamba and Kikuyu languages of East Africa, pp. 10–11. Cambridge: Cambridge University Press.
  2. Armstrong, Lilias E. (1940). The Phonetic and Tonal Structure of Kikuyu. Rep. 1967. (Also in 2018 by Routledge).
  3. Benson, T.G. (1964). Kikuyu-English dictionary. Oxford: Clarendon Press.
  4. 4.0 4.1 湯川恭敏 (1981).「キクユ語名詞アクセント試論――リムル方言について――」 『アジア・アフリカ言語文化研究』22, 75-123.
  5. 5.0 5.1 5.2 湯川恭敏 (1985).「キクユ語名詞アクセント再論」 『アジア・アフリカ言語文化研究』29, 190-231.