トーク:集中

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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他動詞の「集中する」について[編集]

ShikiHでございます。意見をお求めのようなので、コメントさせてください。「漢語+する」の語形は古くから見られ、明治・大正(青空文庫の時代)では他動詞も自動詞同様に普通の言い方でした。しかし21世紀の現代もそうかと言えば、他動詞の用法は衰退ぎみだろうと考えます。

(1)燈台ではこの大きなレンズで光を集中し……
(2)燈台ではこの大きなレンズで光を集中させ……

を比べた場合、21世紀語では(2)が普通だろうし、私も(2)を言います。すなはち、「集中する」は他動詞ではないという意識です。しかし(1)は間違いなのかというとそんなことはなく、昔は(1)が普通であり、(2)は奇妙な言い方であったようです。次に他の例を挙げます。

(3) 其仕打は父の人格を反射する丈夫丈多く代助を不愉快にした。(夏目漱石、『それから』)

「反射するだけそれだけ多く」と読み、意味は意訳すれば「反射すればするほど益々」というようなことでしょう。この反射するは他動詞。たぶん「○○する」は昔は他動詞の用法も普通。今はあんまり言わない、ということでしょうか。

時々思うのですが、ウィクショナリは「古典日本語」のほかに「日本語」があるので、後者は現代日本語ということになるわけだけど、いったい現代とはいつごろなのだろうか。私の記述の対象は18世紀末くらいからですが(ただし語釈は21世紀風を心がけています)、それでよいものか。21世紀を対象とするならば「集中する」には自動詞しかない、という感じ方もありうべき意見に思います。--ShikiH (トーク) 2015年11月5日 (木) 13:14 (UTC)[返信]

「集中」については、「精神を集中する」「注意を集中する」のような表現では、現在でも他動詞の用法も一般的だと思います。確かに、現在では他動詞として使用する範囲は狭くなっているのでしょうが、なくなっているわけではないと思います。
なお、例として「反射」を挙げられていますが、これはどのような意味でしょうか。「光を反射する」というのは今でも普通の言い方だと思いますし、「反射」の語が「集中」の用法に関係あるようには思えないのですが。--Usagiuma (トーク) 2015年11月5日 (木) 14:34 (UTC)[返信]
ShikiHでございます。なるほど、ご指摘の通り、反射するの例は適切ではなかったようです。よって次例を示します。
(4)ユダヤ民族を集合して国土を立てようというザイオニズムの主張者としてさもありそうな事である。(寺田寅彦『アインシュタイン』)
この例はいかがでしょうか。現在なら「集合せしめて」などと言いそうなところです。サ変動詞の他動詞については、時々感じてはいるのですが、いざ書くとなると適切な語が急には思い浮かばず、御不審を招きました。おゆるしください。ただし、この例も現在でも言いそうだ、というふうにお感じになるかもしれませんが。--ShikiH (トーク) 2015年11月5日 (木) 17:00 (UTC)[返信]
ShikiHさんへ: 重ね重ねお世話になります。個人的な感覚に頼りますと「集合」の例は、その文脈で同じ内容を他者に伝えようとする際にはそもそも集合という言葉は用いずに、「集結させて」という書き方が最も通りが良いように思われます。
Usagiumaさんへ: ご意見ありがとうございます。加筆の際にはついつい自動詞にあたる訳語ばかりが念頭にございましたので、そうした使用例は失念しておりましたね。迂闊でございました。早速その用例を本文中に組み込んでもよろしいでしょうか。
 総合致しますとUsagiumaさんも仰せの様に現代においては「集中」や「反射」といった自他いずれでも用いられる(例: 〔自〕 光が反射して眩しい/ 〔他〕 光を反射する)ものがある一方、「集合」や「集結」等は、過去に他動詞として用いられた例は確実に存在するものの、使役表現を用いない単独の形は専ら自動詞として用いたくなる(例: 八時ちょうどに集合する; 戦士たちが今ここに集結する)心理が働く言葉であると存じます。今後の活動においてはこうした動詞の用いられ方に関しても時代的側面などを絡めつつ記事内で触れて行く事ができたら、という所存です。--Eryk Kij (トーク) 2015年11月5日 (木) 18:04 (UTC)[返信]
ShikiHさんへ:「集合」についてはそのとおりで、現在では「集合」を他動詞で用いることは、まずないと思います(もしかすると、物を集め合わせて一つにまとめる意味では使う人もいるかもしれませんが)。挙げていただいた例についても、現在では、このような表現をすることはないと思います。
Eryk Kijさんへ:用例の表現については、ありふれたものですので、本文中に組み込んでいただいて問題ありません。「集結」については、「前線に部隊を集結する」のようには言えると思いますが、違和感がある人もいるかもしれません。このあたりは判断が難しいですね。--Usagiuma (トーク) 2015年11月6日 (金) 15:46 (UTC)[返信]