いきまく

日本語[編集]

いきまく【息巻く】

(古用法) 怒って呼吸が激しくなる。せきこんで、息が荒くなる^[1]。
- 上人なほいきまきて、「何といふぞ、非修（ひしゅ）非学の男（をのこ）」とあららかに言ひて、極まりなき放言しつと思ひける気色にて、馬ひき返して逃げられにけり。（吉田兼好『徒然草』第106段）
  上人は一層憤慨して、「何を言うか、無知無学の野郎め」と乱暴に言って、とんでもない放言をしてしまったと思ったらしく、馬を引き返してお逃げになってしまった。
激しく言い立てる。捲し立てる。気炎を上げる。豪語する。
(古用法) 勢いを張る。勢力を振るう^[2]。
- 故院の御時に、大后の坊の初めの女御にて、いきまき給ひしかど、むげの末に参り給へりし入道の宮に、しばしは圧され給ひにきかし（紫式部『源氏物語』第34帖・若菜上）
  故桐壺院の御世に、弘徽殿大后が皇太子の最初の女御として権勢を得ていらっしゃったが、ずっと後になって入内なさった入道の宮に一時は圧倒されてしまわれたのだぞ。

活用と結合例

いきま-く動詞活用表（日本語の活用）
カ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
いきま	かこ	きい	く	く	け	け

↑ 上田万年、松井簡治『大日本国語辞典』金港堂書籍、第1巻、1915年10月8日、紙面200ページ、デジタル113ページ、全国書誌番号：43022818、国立国会図書館デジタルライブラリー pid 954645/113
↑ 上田万年、松井簡治『大日本国語辞典』金港堂書籍、第1巻、1915年10月8日、紙面201ページ、デジタル113ページ、全国書誌番号：43022818、国立国会図書館デジタルライブラリー pid 954645/113