淫する

日本語

動詞

淫する (いんする)

1. (自動詞, 文章語) 悪い結果を招くほど過度に夢中になる。おぼれる。ふける。
   • 1924年、豊島与志雄「都会に於ける中流婦人の生活」

     斯くして彼女等は、肉体的にも精神的にも、次第に活力を失ってくる。機械的な繰返しの生を営んで、その中に淫し溺れて、その日その日の安穏無事から、一歩も外に出ようとはしない。

   • 1941年、大鹿卓「渡良瀬川」

     それはまだ民権運動の盛んな時分のことである。彼等の共通の先輩であった沼間守一は至って不養生の人で、酒に淫して誰の諌言もきき入れなかった。

   • 1947年、風巻景次郎「中世の文学伝統 改版」

     同じ行きかたのものでも、『千載集』の方のは数も非常に少ない上に、［……］のような調子で、語呂合せ的な言いぶりが、かえってなにか風流に淫しているといった感じの抒情味をしめしてくるのである。

活用

淫-する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
淫	し せ さ	し	する	する	すれ	せよ しろ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	淫しない	未然形 + ない
否定	淫せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	淫される	未然形 + れる
丁寧	淫します	連用形 + ます
過去・完了・状態	淫した	連用形 + た
言い切り	淫する	終止形のみ
名詞化	淫すること	連体形 + こと
仮定条件	淫すれば	仮定形 + ば
命令	淫せよ 淫しろ	命令形のみ

関連語

• 婬する