了する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

する (りょうする)

  1. (他動詞, 文章語) 了解する。理解する。
    • 1934年、喜田貞吉「法隆寺再建非再建論の回顧」[1]
      そして右の中法起寺及び法輪寺の塔婆の考証については、その後関野君の反駁があり、また法隆寺及び薬師寺の建築物についても、平子君からそれぞれ反駁を受けたのであったが、それらに対して余輩はことごとく一と通りの弁明を了して、今においてなお余輩の諸論は不完全ながらも、その儘に保存せらるるものと信じているのである。
    • 1943年、柴田宵曲「古句を観る」[2]
      陰鬱な五月雨の空気の中に漂う侘しい香を見つけた――嗅ぎつけたのである。味噌は蔵の中にあるのであろう。じめじめした暗い五月雨と、プンと鼻に感ずる味噌の香とを脳裏に浮べ得る人ならば、この句の趣は説かずともこれを了するに相違ない。
  2. (他動詞, 文章語) 完了する。終わらせる。
    • 1930年、神戸又新日報「なぜ日本ばかりが批准手続を急ぐか 両国際条約枢府委員会で果して痛烈な質問」[3]
      これに対し幣原外相、松永条約局長から[……]日本は他国が批准手続きを了しないでも調印した以上は国際信義を尊重し進んでその手続きをとりたい[……]旨を述べ正午休憩、午後一時続行した。
    • 1941年、大阪朝日新聞「食糧増産への邁進 地方長官会議席上石黒農相の訓示」[4]
      本年の食糧事情は昨年に比して一層重大なる事態に立ち至っている、[……]しかしまだ買入未完了の県もあるので速に残数量の買入を了するよう配意を願いたい

活用[編集]

了-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 了しない 未然形 + ない
否定 了せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
了される 未然形 + れる
丁寧 了します 連用形 + ます
過去・完了・状態 了した 連用形 +
言い切り 了する 終止形のみ
名詞化 了すること 連体形 + こと
仮定条件 了すれば 仮定形 +
命令 了せよ
了しろ
命令形のみ

[編集]

  1. 青空文庫(2011年6月30日作成。底本:「先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選」河出書房新社、2008(平成20)年1月30日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001344/files/49819_44337.html
  2. 青空文庫(2017年1月1日作成。底本:「古句を観る」岩波文庫、岩波書店、1988(昭和63)年4月15日第7刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001832/files/57179_60631.html
  3. 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 軍事(国防)(25-095)「神戸又新日報 1930.8.3 (昭和5)」 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=10185091&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
  4. 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 農業(7-081)「大阪朝日新聞 1941.4.13 (昭和16)」 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00487605&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA