黙する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

する (もくする)

  1. (自動詞, 文章語) だまる沈黙する。
    • 1895年、泉鏡花「貧民倶楽部」[1]
      ここに到りて老婦人はもはや黙することを得ず、凜たるさりながらやや震を帯びたる声にてはじめて一言、「華族じゃぞ。」
    • 1941年、太宰治「みみずく通信」[2]
      こんどの旅行に就いても、私は誰にも知らせず、永遠に黙しているつもりでいたのですが、根が小心の私には、とても隠し切る事の出来そうもないので、かえって今は洗いざらい、この旅行の恥を君に申し上げてしまうのです。

活用[編集]

もく-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
もく

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 もくしない 未然形 + ない
否定 もくせず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
もくされる 未然形 + れる
丁寧 もくします 連用形 + ます
過去・完了・状態 もくした 連用形 +
言い切り もくする 終止形のみ
名詞化 もくすること 連体形 + こと
仮定条件 もくすれば 仮定形 +
命令 もくせよ
もくしろ
命令形のみ

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  1. 青空文庫(2020年10月28日作成、底本:「泉鏡花集成2」ちくま文庫、筑摩書房、1996(平成8)年4月24日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/50108_72104.html
  2. 青空文庫(2000年1月28日公開、2005年10月27日修正、底本:「太宰治全集4」ちくま文庫、筑摩書房、1988(昭和63)年12月1日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/298_20049.html