出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
どうせ
- 不本意である結論や結果が予想されることに対して、何を言おうとも、又は、何をしようとも変わらないであろうと考え、不満や諦め、投げやりな感情を表すさま。
- おれを見る度にこいつはどうせ碌なものにはならないと、おやじが云った。(夏目漱石 『坊っちゃん』)
- さほど困らないような結論や結果が予想されることに対して、たかをくくって安心するさま。
- 私は、家を借りる時は、どうせ何時でも引越せるのだと甚だ簡単にきめてしまふ習慣がある。(岸田國士 『移転記録』)
- (仮定などを表す節の中で)なにかをしたり、なんらかの事態を甘受させられたりすることになるのなら、いっそのことそれに応じて主体的になにかを行ったり、好意的に受け止めたりするほうがよいと考えるさま。
- 最初、私は、極く内輪に計画を立てたのだが、長谷川君は、どうせ出すなら立派なものをといふので、頁数こそ少いが、体裁内容とも充分見応へ、読み応へのするものにした。(岸田國士 『「悲劇喜劇」発刊について』)
- お互いに、どうせ日々三度ずつは食事がつきまとうに決まっているのですから、美味い不味いの区別がよく分り、物を殺さない拵え方ができることは、楽しみのひとつで、人生の幸福ではないかと思います。(北大路魯山人 『序に代えて』)
- 江戸期には使用。「どう」+「せよ(「す(=現代語:する)」の命令形)」の語末消失、命令形の放任用法の例。