トーク:尋常

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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「尋常ではない」について[編集]

ShikiHでございます。意見をお聞きになりたいようなので、コメントを書きます。「尋常」が否定の言葉と共に用いられることが多いとは、わたしは感じませんが、しかし否定語と共に用いることが多いというのは、一般的には事実のようです。

青空文庫で少し古い用例(ただし尋常小学校は除く)を調べると、否定語と共に用いるという傾向はないようです。一方、コーパス少納言で調べると、かなりのものが否定語と共に用いられています。すなわち近年この用法が盛んになってきたものと推定されます。また、私が信頼する4つの辞書を見ると、「否定語と共に用いられることが多い」と書いたものはありませんが、しかしながらそこにあげてある用例はほとんどが否定語を含んでいます。否定語と共に用いるのが普通のようです。

さて、「尋常でない」という表現は昔も使われていました。どんなものを尋常ではないと言っていたかを調べます。以下は青空文庫から用例:

  • 彼の父は 尋常の人ではなかった。
  • 新潟沖から出て小笠原諸島に漂着するというのも、尋常ではない。
  • 世の多くの人は、尋常一様の方法によらずして、何らか不可思議なるある作用により、たちまち生活の困難を減ぜんとするの欲望あることを察すべし。
  • 花落ちの実や花の異様なモザイク 風な描線の組み方といい、尋常でない画人の風戯であることはすぐわかる。

以下はもうちょっと新しい例。

  • 外務事務次官を丸裸にしたり、警察庁長官を逆さ吊りにしたり…どうも尋常ではない
  • 死に方が尋常ではなかったので、生前親しかった人たちだけに声をかけたのであるが
  • アメリカ全土の空港が閉鎖されたというのは 尋常ではない。
  • 無風斎にしてもさやかの尋常でない殺気を、どこかで感じ取ったのだろう。

どうも「尋常でない」は、特に主として近年、かなり重大な出来事・状態を表す言葉のようです。だとすると「朝に寝て夜に起きる様な生活は尋常であるとは言えない」、つまり昼夜逆転生活をしているという程度では、尋常でないは大げさかもしれないと私は感じますが、いかがでしょうか。--ShikiH (トーク) 2015年11月3日 (火) 17:10 (UTC)[返信]

 ご調査頂き、大変感謝致します。本来であればあの様な注釈は一定の典拠を用意してから示すべきものであるのですが、今回はもっぱら一母語話者としての感覚に基づいて記述致しました。調査頂いた文例のうち少し前のものにおいては意味は広めで、中には「非凡な」にあたる用例も見られますね。近年の例では、暴力的なものや事件などに関する文脈におけるものが目立つように見受けられます。やはり何事も慎重に臨むべきでございますね。とりわけ例文に関しましては。--Eryk Kij (トーク) 2015年11月3日 (火) 17:53 (UTC)[返信]