「ひっかける」の版間の差分

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#*益満は、提灯を吹き消した。そして、木の枝へ'''引っかけ'''た。(直木三十五「南国太平記」)〔1931年〕<ref>青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「直木三十五作品集」文藝春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/45567_26392.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*益満は、提灯を吹き消した。そして、木の枝へ'''引っかけ'''た。(直木三十五「南国太平記」)〔1931年〕<ref>青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「直木三十五作品集」文藝春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/45567_26392.html 2018年12月29日参照。</ref>
# [[関連]]づける。
#{{タグ|jpn|他動詞}} [[関連]]づける。
#*僧はさらにこの「無」に'''引っかけ'''て、一切衆生が無であるならば仏性も狗子も無であるだろう、その意義いかんと問う。(和辻哲郎「日本精神史研究」)〔1922年〕<ref>青空文庫(2017年12月10日作成)(底本:「日本精神史研究」岩波文庫、岩波書店、2007年1月25日第16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49905_63366.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*僧はさらにこの「無」に'''引っかけ'''て、一切衆生が無であるならば仏性も狗子も無であるだろう、その意義いかんと問う。(和辻哲郎「日本精神史研究」)〔1922年〕<ref>青空文庫(2017年12月10日作成)(底本:「日本精神史研究」岩波文庫、岩波書店、2007年1月25日第16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49905_63366.html 2018年12月29日参照。</ref>
# [[くわだてる|くわだて]]て、[[だます]]。
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#*三千石の殿様が、こうして落魄れておいでなさることも夢のようだし、その殿様と自分が、こうして膝つき合わせて友達気取りでお話をしているのも疑えば際限がないし、美しい男に化けるのが上手だという三吉狐が、もしや駒井の殿様に化けて、わたしを'''引っかけ'''ているのではなかろうか。(中里介山「大菩薩峠」)〔1921年〕<ref>青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「大菩薩峠5」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行、「大菩薩峠6」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000283/files/2934_6798.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*三千石の殿様が、こうして落魄れておいでなさることも夢のようだし、その殿様と自分が、こうして膝つき合わせて友達気取りでお話をしているのも疑えば際限がないし、美しい男に化けるのが上手だという三吉狐が、もしや駒井の殿様に化けて、わたしを'''引っかけ'''ているのではなかろうか。(中里介山「大菩薩峠」)〔1921年〕<ref>青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「大菩薩峠5」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行、「大菩薩峠6」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000283/files/2934_6798.html 2018年12月29日参照。</ref>
# [[誘惑]]する。ナンパする。
# [[誘惑]]する。ナンパする。
# ([[液体]]を)[[ふりかける]]。
#{{タグ|jpn|他動詞}}([[液体]]を)[[ふりかける]]。
#*それ以来、この中堅会が、羽振りを利かすようになって、四年になった時「五年は、来年卒業するから、もう、学校には縁が薄い。四年が、学校の中心だ」という理屈をつけたが、夕陽丘で、女学校の柵へ小便'''引っかけ'''たのは、この時分である。(直木三十五「死までを語る」)〔1933年〕<ref>青空文庫(2007年3月13日作成、2009年9月17日修正)(底本:「直木三十五作品集」文芸春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/1725_26171.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*それ以来、この中堅会が、羽振りを利かすようになって、四年になった時「五年は、来年卒業するから、もう、学校には縁が薄い。四年が、学校の中心だ」という理屈をつけたが、夕陽丘で、女学校の柵へ小便'''引っかけ'''たのは、この時分である。(直木三十五「死までを語る」)〔1933年〕<ref>青空文庫(2007年3月13日作成、2009年9月17日修正)(底本:「直木三十五作品集」文芸春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/1725_26171.html 2018年12月29日参照。</ref>
# ([[酒]]などを)[[のむ|飲む]]。
#{{タグ|jpn|他動詞}}([[酒]]などを)[[のむ|飲む]]。
#*午頃になって、一寸町へ出た。何か少し食って、黒ビイルを一杯'''引っ掛け'''て帰って、また書いている。(Jacob Julius David「世界漫遊」)〔森鴎外訳1911年〕<ref>青空文庫(2010年8月14日作成、2011年4月23日修正)(底本:「於母影 冬の王 森鴎外全集12」ちくま文庫、筑摩書房、1996年3月21日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001195/files/50917_40226.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*午頃になって、一寸町へ出た。何か少し食って、黒ビイルを一杯'''引っ掛け'''て帰って、また書いている。(Jacob Julius David「世界漫遊」)〔森鴎外訳1911年〕<ref>青空文庫(2010年8月14日作成、2011年4月23日修正)(底本:「於母影 冬の王 森鴎外全集12」ちくま文庫、筑摩書房、1996年3月21日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001195/files/50917_40226.html 2018年12月29日参照。</ref>
#([[上着]]や[[はきもの|履物]]を)[[無造作]]に[[着用]]する。
#{{タグ|jpn|他動詞}}([[上着]]や[[はきもの|履物]]を)[[無造作]]に[[着用]]する。
#*「あら、いらっしゃい……」と、この古ぼけた居酒屋に似合わぬ、陽気な、若い女の声がすると、赤い塗下駄を'''引っかけ'''た、結綿の女がぱっと花が咲いたように出て来た。(蘭郁二郎「夢鬼」)〔1936年〕<ref>青空文庫(2010年7月31日作成、2011年1月19日修正)(底本:「火星の魔術師」国書刊行会、1993年7月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000325/files/2187_40112.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*「あら、いらっしゃい……」と、この古ぼけた居酒屋に似合わぬ、陽気な、若い女の声がすると、赤い塗下駄を'''引っかけ'''た、結綿の女がぱっと花が咲いたように出て来た。(蘭郁二郎「夢鬼」)〔1936年〕<ref>青空文庫(2010年7月31日作成、2011年1月19日修正)(底本:「火星の魔術師」国書刊行会、1993年7月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000325/files/2187_40112.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*どんな話だったか私は知らないが、私が玄関まで送ってゆくと、A叔母さんはコートを'''引っかけ'''ながら、くるりと私の方へ向き直って、私の顔をじっと見た。(豊島与志雄「窓にさす影」)〔1952年〕<ref>青空文庫(2007年2月23日作成)(底本:「豊島与志雄著作集 第五巻(小説5・戯曲)」未来社、1966年11月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42679_26264.html 2018年12月29日参照。</ref>
#*どんな話だったか私は知らないが、私が玄関まで送ってゆくと、A叔母さんはコートを'''引っかけ'''ながら、くるりと私の方へ向き直って、私の顔をじっと見た。(豊島与志雄「窓にさす影」)〔1952年〕<ref>青空文庫(2007年2月23日作成)(底本:「豊島与志雄著作集 第五巻(小説5・戯曲)」未来社、1966年11月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42679_26264.html 2018年12月29日参照。</ref>


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{{日本語下一段活用|ひっか|ける}}


====成句====
====成句====

2019年8月21日 (水) 10:41時点における版

日本語

動詞

ひっかけるける・ける】

  1. (他動詞)突起環状のものに)かませる・ぶらさげる。
    • 益満は、提灯を吹き消した。そして、木の枝へ引っかけた。(直木三十五「南国太平記」)〔1931年〕[1]
  2. (他動詞) 関連づける。
    • 僧はさらにこの「無」に引っかけて、一切衆生が無であるならば仏性も狗子も無であるだろう、その意義いかんと問う。(和辻哲郎「日本精神史研究」)〔1922年〕[2]
  3. (他動詞) くわだてて、だます
    • 三千石の殿様が、こうして落魄れておいでなさることも夢のようだし、その殿様と自分が、こうして膝つき合わせて友達気取りでお話をしているのも疑えば際限がないし、美しい男に化けるのが上手だという三吉狐が、もしや駒井の殿様に化けて、わたしを引っかけているのではなかろうか。(中里介山「大菩薩峠」)〔1921年〕[3]
  4. 誘惑する。ナンパする。
  5. (他動詞)液体を)ふりかける
    • それ以来、この中堅会が、羽振りを利かすようになって、四年になった時「五年は、来年卒業するから、もう、学校には縁が薄い。四年が、学校の中心だ」という理屈をつけたが、夕陽丘で、女学校の柵へ小便引っかけたのは、この時分である。(直木三十五「死までを語る」)〔1933年〕[4]
  6. (他動詞)などを)飲む
    • 午頃になって、一寸町へ出た。何か少し食って、黒ビイルを一杯引っ掛けて帰って、また書いている。(Jacob Julius David「世界漫遊」)〔森鴎外訳1911年〕[5]
  7. (他動詞)上着履物を)無造作着用する。
    • 「あら、いらっしゃい……」と、この古ぼけた居酒屋に似合わぬ、陽気な、若い女の声がすると、赤い塗下駄を引っかけた、結綿の女がぱっと花が咲いたように出て来た。(蘭郁二郎「夢鬼」)〔1936年〕[6]
    • どんな話だったか私は知らないが、私が玄関まで送ってゆくと、A叔母さんはコートを引っかけながら、くるりと私の方へ向き直って、私の顔をじっと見た。(豊島与志雄「窓にさす影」)〔1952年〕[7]

活用

Lua エラー モジュール:日本語活用表 内、232 行目: 活用タイプと語の形が合っていません。

成句

  1. 青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「直木三十五作品集」文藝春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/45567_26392.html 2018年12月29日参照。
  2. 青空文庫(2017年12月10日作成)(底本:「日本精神史研究」岩波文庫、岩波書店、2007年1月25日第16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49905_63366.html 2018年12月29日参照。
  3. 青空文庫(2007年3月7日作成、2012年3月11日修正)(底本:「大菩薩峠5」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行、「大菩薩峠6」ちくま文庫、筑摩書房、1996年2月22日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000283/files/2934_6798.html 2018年12月29日参照。
  4. 青空文庫(2007年3月13日作成、2009年9月17日修正)(底本:「直木三十五作品集」文芸春秋、1989年2月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/1725_26171.html 2018年12月29日参照。
  5. 青空文庫(2010年8月14日作成、2011年4月23日修正)(底本:「於母影 冬の王 森鴎外全集12」ちくま文庫、筑摩書房、1996年3月21日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001195/files/50917_40226.html 2018年12月29日参照。
  6. 青空文庫(2010年7月31日作成、2011年1月19日修正)(底本:「火星の魔術師」国書刊行会、1993年7月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000325/files/2187_40112.html 2018年12月29日参照。
  7. 青空文庫(2007年2月23日作成)(底本:「豊島与志雄著作集 第五巻(小説5・戯曲)」未来社、1966年11月15日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42679_26264.html 2018年12月29日参照。