利用者・トーク:KAMEDA, Akihiro/同義語、類義語、異表記

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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本稿は同義語、類義語、異表記についての私論です。Wiktionary:編集室/2007年#「同義語」と「類義語」に触発されてメモをしておきます。

関連概念の区別

この図のうち、本稿で扱うのは、表記が異なり、意味が同じものであるので、Different spelling (異綴)と Synonym (類義語同義語)が相当する。

まず、Different spelling の部分について。「綴る」を日本語や中国語に適用しないという区別がされることがあるが、そういった差異を除けば、異綴=異表記となる。また、{{alter}}はもともと「異綴」という表記で、(Wiktionary:編集室/2015年Q4)にあるように、別形は「複数形や過去形・過去分詞形が複数ある語において、もう片方の形を示す」ことや「方言形」を含めるという意図に基づいて、「異表記・別形」と改名されている。異形ではなく別形という語が選択されたのは「いぎょう」と読まれる別の語義の問題だが、異表記別表記異形別形について、「異」は相互に異なっている、「別」はある表記を起点としてそれと別だというときに使われているだけで、基本同義である。異・別「形」は「からむ」と「からまる」についての用例を挙げたように、異表記よりも幅広い概念だと思われる。よって、異綴、方言形は異形に含まれる、つまり別形の方で{{alter}}の指す範囲はカバーできるが、異表記の方が分かりやすいのでそういう意味で異表記とされているのはいいと思う(さらに後述のように別形は範囲が広すぎるので本来不適な側面がある)。異綴は異表記に含まれるが、方言形は異表記に含まれたり含まれなかったりすると思う。たとえば、「とうもろこし」の異表記として「なんば」を入れるかというと、それは違和感があるだろう、それは類義語になる。一方で、「なす」と「なすび」は異表記に含めるという手もあるが、同義語として扱えばよい(上、関連概念の区別図のようにそこは明白に区別できる)。color と colour は発音も全く同じとされるので、方言形であり、異表記である。この議論のように区別するならば、「別形」は範囲を広げすぎだが、何度も改名するのは理解が得られないかもしれないので、当面は運用のための文書で補い、必要に応じて改名で良いと思う。他、表記揺れという語が{{alter}}の説明にも使われているが、その語義1は異表記と同義であると考える。

関連:

  • テンプレート・トーク:alter メモ:語だけを対象としているが、連語や慣用句についても適用可能な概念なはず、そこは明記しておきたい。

つぎに、Synonym について。英語では、同義語と類義語はともにsynonymで、完全同義語という意味でabsolute synonymという言葉がある。私見として類義語のうち語義の一致度が高いものを同義語と呼んでいるというのが世間一般の用法であり、大抵の「同義語」対を見ても、この時にはこちらしか使えない、という差異を指摘することができる。それが不可能なほどの同義性を指すために absolute synonym という術語は(あまり一般的ではないですが)存在する。類義語と同義語の区別は厳密なものではありえないと考えているが、一方で区別する利便性はあるかと言われればあると思っている。

それを見せる方法としては、類義語の語の横に「同義語」と書いたり、差があるものについては差を説明したりという形でまとめるので十分。({{homonym}} のあまりよくないと思っている使い方に、かなのページで同音異義の一覧を作っているものがあるが、スタイルは悪くないので、それを各語についてやればよい。しかしそれは冗長性を高めるので、何か工夫ができればいい)。これによって、類義語と同義語の区別論争は避けることができます。テンプレートを別に用意したりすることで構造的に差異を表現する必要性はないし、それは厳密に区別できないものについての無用な論争を生み出す元だと思う。

前述の異表記の定義における「同義」について、発音が同じという条件をつけると、異表記が同義語か完全同義語かはどちらでも成立はするし、その細かい定義は結局判断が困難なので「同義語」としておけばいいと思う。

その他:

  • クリプキのw:名指しと必然性で指摘されるような固有名詞における同義性、つまり、référent の一致をベースにした同義性に関しては、「同義語」、つまり類義語の中で同義性が高いものとして扱うべきだと思う。先ほどの表示の方法で言えば、「物質として同じ」だとか「〇〇の化学的名称」といった説明が横に付されることで同義性を表現することになる。
  • 異表記の用例でも、語の中の表記の揺れととるか、異なる語同士の関係ととるかという2つの立場が匂わされていて、私は前者の立場に立っていますし、その方が多い気がしていますが、あまり明確な合意は無いと思う。ウィクショナリーにおける(より正確には単語)の扱いは、見出し、およびそれにまとめられるソフトリダイレクトを含むリダイレクト、という外形的な区切りで確認できるし、何をリダイレクトにするかと関わってくると思う。

黒田 航ら「Web 文書にも対応できる日本語異表記の認定基準」https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2010/pdf_dir/A5-6.pdf の4.1節で12種類+その組み合わせに分類されている異表記のカテゴリ。b, c, h, i, j が主な対象(そのなかの全てを含むわけじゃないし、主に日本語のみ、でもまず日本語の表記について決めておくと良い)。

b. 主に外来語の音の転記の変異に由来する (主にカタカナの) 表記の変異:この例はすべて対象内
i. (コクピット, コックピット)
ii. (ハンナ・アーレント, ハンナ・アレント)
iii. (オーソリティ, オーソリティー)
iv. (ヴァイオリン, バイオリン)

c. 字種の変異:ウィクショナリーでは(i~iii)は対象外。そして全体見渡して踊り字はここに入る扱いになると思う。
i. (憂鬱, ゆううつ), (ユーウツ, 憂鬱)
ii. (肩掛け, 肩かけ), (お猪口, おちょこ)
iii. (辺り, あたり)
iv. (当たり, アタリ), (あたり, アタリ)
v. (ヘビ, 蛇), (桃, モモ), (ハモ, 鱧)
vi. (チリトリ, チリ取り), (竿竹, サオ竹)
vii. (長め, 長目)

h. 字体の変異:単なる旧字体の場合は対象外?
i. (仙台, 仙臺), (渡邊, 渡辺)

i. 送り仮名の有無:ウィクショナリーでは基本問題にならないはず(送り仮名が存在するのは和語が多いから)。複合語などの場合に、対象になる。
i. (長め, 長いめ)
ii. (お問い合わせメール, お問合せメール), (お問い合わせメール, お問い合せメール)

j.「意味の軽い」形態素の付加 (あるいは省略):発音が異なるので基本対象外な気がするが特例でiiの場合は入れても良い気がする。
i. (問い合わせ, お問い合わせ)
ii. (S字カーブ, Sカーブ), (大国主命, 大国主)
iii. (和田秀樹氏, 和田秀樹)

g. 空白の有無:論文の例は固有名詞 (PHPMySQL, PHP MySQL) を挙げているが、richman と rich man みたいなのは異表記として扱えると思う。

以下は対象外だが固有名詞なら対象になるかも。

a. 数字や単位の異表記
d. 外国語の音転記 (transliteration) と元語句との対4)
i. (オリコンスタイル, oricon style)
ii. (ATARI, アタリ)
e. 大文字と小文字の変異
f. 全角文字と半角文字の変異
k.「・」などの記号の有無
l. 順序の交替