出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
ず 教科書体
- IPA(?): /ʣɯ/(文頭や丁寧に発音したときなど)
- IPA(?): /zɯ̹˕/(母音にはさまれている時)
ず
- (打消)助動詞「ぬ」の連用形。
- そんなこととも知らずに、のこのこ出てきてしまった。
ず
- (打消)否定の意味を加える助動詞。~ない。~ぬ。
- あしいかず(足が行かない)
- おもはざりけり(思わなかったことだ)
- 未然形接続
| 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
| (ず・な) | ず (に) | ず | ぬ | ね | ○ |
| ざら | ざり | (ざり) | ざる | ざれ | ざれ |
- 「(ず)・ず・ず・○・○・○」の第一系列、「(な)・(に)・○・ぬ・ね・○」の第二系列、「ざら・ざり・(ざり)・ざる・ざれ・ざれ」の第三系列に分解して考えると、第一系列は無変化型、第二系列は四段型、第三系列はラ変型である。実際、第三系列は「ず」にラ変動詞「あり」のついた「ずあり」の各活用形が縮約したものと判明している。
- 未然形の「な」、連用形の「に」は共に上代日本語で用いられた用法である。
- 未然形の「な」に接尾辞「く」[1]及び接続助詞「に」が後接した「なくに」は、中古以降和歌に多く用いられて「~なのになあ」という否定的な詠嘆を表す。
- 例:誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに(小倉百人一首第34番 作:藤原興風)
- 「ずは」
- 連用修飾あるいは仮定として訳される。
- 未然形の「ず」に関しては「ずは」の形でのみ認めるとする学説がある。この場合「ず」+ 「は」(<接続助詞 「ば」) と解釈する。しかし、この「ずは」の「は」は上代日本語において「波」と表記されているが、この「波」を「ば」と読む例は存在しないことから、現在では「ず」+ 「は」 (係助詞) と解釈するのが普通である。
- 補助活用でありながら、「ざる」「ざれ」の直後に助動詞が下接しない場合や、終止形として「ざり」が用いられる場合もある。
- ↑ 「なく」を「ず」のク語法と捉えると、未然形の「な」ではなく連体形の「ぬ」が用いられたと理解されることに注意