ときをえがお

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日本語[編集]

名詞[編集]

ときをえがお時を得顔

  1. 自信を持ち、いかにも誇らしそうな顔つき表情
    • 1941年、宮本百合子「今日の生活と文化の問題」[1]
      何故なら、私たちの日々の暮しの経験では、成程この頃成金になった人々もある。時を得顔の、いろいろの特権をもって暮らしている人々もある。
    • 1946年、太宰治「返事」[2]
      私は無頼派です。束縛に反抗します。時を得顔のものを嘲笑します。だから、いつまで経っても、出世できない様子です。

類義語[編集]

形容動詞[編集]

ときをえがお時を得顔

  1. 自信を持ち、いかにも誇らしそうな顔つき表情をしているさま。
    • 1933年、岡田稔「紫式部日記新釈」[3]
      まして御殿のうちにお仕へしてをる人の喜悦は勿論のことでとるにも足らないやうな五位ぐらゐの者までも、あちらこちらと腰をかゞめて忙さうに駆け廻つて居り、時を得顔な様子である。
    • 1942年、吉田絃二郎「乃木将軍」[4]
      時を得顔な顯官たちが馬車を乘りまはして、大輪、懸崖の菊花の前に打ち興じゐる姿を見るに忍びなかつた。
    • 1954年、春日一幸、第19回国会衆議院[5]
      まことに中小企業の困窮をよそに、外貨九億六千万ドルの基礎物資輸入を通じ、これら一部少数の大企業は時を得顔に驚くべき大繁昌を続けているのである。

活用[編集]

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  1. 青空文庫、2003年5月26日作成(底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3192_10867.html
  2. 青空文庫、2004年6月16日作成(底本:「もの思う葦」新潮文庫、新潮社、1998(平成10)年10月15日39刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/42372_15885.html
  3. 岡田稔 著『紫式部日記新釈』,正文館書店,昭和8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1053659 (参照 2024-05-05)
  4. 吉田絃二郎 著『乃木将軍』,新潮社,昭和17. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1136006 (参照 2024-05-05)
  5. 「第19回国会 衆議院 本会議 第46号 昭和29年5月10日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/101905254X04619540510/5 2024年5月5日参照