コンテンツにスキップ

労する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

日本語

[編集]

動詞

[編集]

する (ろうする)

  1. (自動詞) 苦労する。
    • 1930年、江戸川乱歩「黄金仮面」[1]
      それに引かえ、怪盗ルパンは生きている。生きて、どこかの隅から警察の狼狽をあざ笑っている。老美術家の悪心を巧みに利用し、労せずして国宝を我が物とした、かれルパンこそ憎みても余りある兇賊だ。
    • 1935年、坂口安吾「文章の一形式」[2]
      そうして徒らに組織立てようとしないために、無理にする聯絡のカラクリがなく、労せずして(実は労しているのであろうが、文章に表われた表面では――)強烈な迫力をもつ真実らしさを我物としている。
  2. (他動詞) はたらかせる。
    • 1916年、河上肇「貧乏物語」[3]
      しかしそれにしても、彼は当時毎年充分の年金を得ていて、衣食のためにはかつて心を労する必要がなかった上に、おいおい年をとって来たとはいえ、ロンドンに向かって出発する時はまさに五十歳に過ぎなかったのである。
    • 1922年、知里幸恵「手紙」[4]
      金田一様のお家へ行って、奥様のお手許で裁縫でも台所の方にでもお手伝ひして、傍ら金田一先生のアイヌ語研究のお話相手をするのです。べつに身体を動かして大して気を労する事でもありません。

活用

[編集]

[編集]
  1. 青空文庫(2021年6月28日作成。底本:「江戸川乱歩全集 第7巻 黄金仮面」光文社文庫、光文社、2013(平成25)年11月15日3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57241_73705.html
  2. 青空文庫(2015年12月13日作成。底本:「堕落論・日本文化私観 他二十二篇」岩波文庫、岩波書店、2013(平成25)年4月5日第6刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/56816_58019.html
  3. 青空文庫(2008年4月7日作成。底本:「貧乏物語」岩波文庫、岩波書店、1978(昭和53)年11月10日第47刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000250/files/18353_30892.html
  4. 青空文庫(2007年11月15日作成。底本:「銀のしずく 知里幸恵遺稿」草風館、1996(平成8)年10月1日)https://www.aozora.gr.jp/cards/000276/files/46482_28582.html