難じる

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

じる (なんじる)

  1. (他動詞) けなす非難する。とがめる
    • 1927年、牧野信一「雪景色」[1]
      「それで?」と彼女は思はず呟いたらしかつた。そして、「何だか、雪景色みたいだわね。真夏だといふのに――」と難じた。
    • 1947年、原民喜「夏の花」[2]
      それで、起き出した時もパンツ一つであった。妹はこの姿をみると、朝寝したことをぶつぶつ難じていたが、私は黙って便所へ這入った。
    • 1947-1950年、宮本百合子「道標」[3]
      「その彼が唯一のたのしみとしている温室のことを、あなたはどういう権利があって、難じるのですか。人間として、母として、私は抑えることの出来ない憤りを感じます。[……]」

活用[編集]

なん-じる 動詞活用表日本語の活用
ザ行上一段活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
なん じる じる じれ じよ
じろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 なんじない 未然形 + ない
意志・勧誘 なんじよう 未然形 + よう
丁寧 なんじます 連用形 + ます
過去・完了・状態 なんじた 連用形 +
言い切り なんじる 終止形のみ
名詞化 なんじること 連体形 + こと
仮定条件 なんじれば 仮定形 +
命令 なんじよ
なんじろ
命令形のみ

[編集]

  1. 青空文庫、2010年7月18日作成、2012年4月16日修正(底本:「牧野信一全集第三巻」筑摩書房、2002(平成14)年5月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000183/files/45402_39815.html
  2. 青空文庫、2005年6月28日作成(底本:「夏の花・心願の国」新潮文庫、新潮社、2000(平成12)年4月25日39刷改版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000293/files/4680_18529.html
  3. 青空文庫、2002年11月24日作成、2014年6月19日修正(底本:第一部、第二部「宮本百合子全集 第七巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷発行。第三部、資料「宮本百合子全集 第八巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷発行。)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/2012_7798.html