コンテンツにスキップ

定式化

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

日本語

[編集]

名詞

[編集]

定式 (ていしきか)

  1. まった方式当て嵌めること。
    • 1937年、戸坂潤「日本文化の特殊性」[1]
      物見高い紅毛人によって珍しがられる意味での武士道も亦、徳川時代に到って初めて文官的儀礼としての定式化を得たものである。
    • 1974年、平田藤吉、第72回国会衆議院[2]
      […]点字ブロックを取りつける際に、それぞれの駅がかってに統一なく取りつけられると、これは先ほどもお話が出ましたけれども、新たな危険を生み出すことになるだろうということも考えられるわけです。視覚障害者の意見を取り入れて、各駅がばらばらにならないように最低限必要な基準、定式化を早急にきめなければならないと考えるわけです。
  2. 論理一貫するような厳密言葉遣い表現すること。
    • 1984年、労働事件裁判例集[3]
      […]差別の必要性を立証する責任は州にあるとされるに至つた。そして、どのような差別的取扱いが許されるかという点については、三つの定式化が行われている。
    • 2016年、遠山清彦、第192回国会衆議院[4]
      昭和四十七年に参議院決算委員会に提出された政府見解、いわゆる四十七年見解では、このような体系的な法の解釈という観点から、憲法九条のもとでの武力行使の可否とその限界について、一般論の提示に当たる基本的な論理と、これを具体的な状況に当てはめた記述とを截然と整理しながら、見事な定式化を行っております。
  3. (語義2の内、とくに)記号数式で表現すること。
    • 2003年、横溝裕行ほか「変動環境における保全戦略の数理的研究 」[5]
      また保全努力とは別に調査努力を考慮し、その効用とコストを明確に理論に取り込む定式化を導人した。ここでは最適な保全努力と調査努力は、個体群の価値に絶滅リスクをかけあわせ たものと、保全と調査努力の和を最小とするものとした。
    • 2006年、知的財産裁判例集[6]
      […]控訴人は、自ら、スロッシングの問題を解析するプログラム作成のための方程式導入、定式化、アルゴリズム作成に着手した。

動詞

[編集]

定式する (ていしきかする)

  1. (他動詞) まった方式当て嵌める
    • 1952年、中井正一「調査機関」[7]
      わが岡山にあるミシガン大学の日本研究班を視察した人々も、機械化され組織化された調査方法に感心させられておる。人数はきわめて少なく、また担当者が時々交代するにかかわらず、調査の型と作業とは定式化され機械化されているので、調査の成果が規則的に集積されてゆくのに感心しているのである。
    • 2020年、大門実紀史、第201回国会参議院[8]
      だから、電子申請だからできるだけ、もちろん善意で早く給付するためにはもう定式化してぱっぱと判断できるようにする、これはもう頑張ってほしいんだけど[…]
  2. (他動詞) 論理一貫するような厳密言葉遣い表現する。
    • 1932年、戸坂潤「イデオロギー概論」[9]
      さて、マルクス主義乃至唯物史観による、社会と意識との関係は、既にプレハーノフによって一応定式化せられた。社会構造に於ける基底から上層建築への展開は、彼に従えば[…]
    • 1994年、村山富市、第130回国会参議院[10]
      次に、非武装中立論についてのお尋ねがございました。私は、悲惨な戦争を繰り返してはならないとの国民の決意に基づく平和憲法の理念を社会党が非武装中立の政策として定式化したものと認識をしております。
    • 2013年、田村憲久、第183回国会衆議院[11]
      解雇権濫用法理といいますか、これはもともと民法上の権利の濫用の法理が原則になっておるわけでありますが、これにのっとったこのようなものがだんだんつくられてきて、最高裁の判例等々で定式化されてきたわけであります。
  3. (他動詞) (語義2の内、とくに)記号数式で表現する。
    • 1985年、田中敏嗣ほか「広島市における大学生の距離・方向認知」[12]
      このように、認知距離を空間的行動の説明変数として定式化していくには問題があまりに多く残されている。
    • 1998年、武田祐子「保育園利用者の時空間プリズムと立地・配分モデリング」[13]
      本研究では、時空間概念を導入した立地・配分モデルであるSTPMを定式化し、それを京都市を中心とする地域に適用した。

活用

[編集]

[編集]
  1. 青空文庫(2012年7月13日作成)(底本:「戸坂潤全集 別巻」勁草書房、1979(昭和54)年11月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000281/files/55290_48235.html
  2. 「第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第16号 昭和49年5月16日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/107204199X01619740516/42 2021年9月26日参照。
  3.  昭和55(行ウ)14、雇用関係存在確認等請求事件、昭和59年2月1日、神戸地方裁判所 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail6?id=16892
  4. 「第192回国会 衆議院 憲法審査会 第3号 平成28年11月24日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119204183X00320161124/19 2021年9月26日参照。
  5. 横溝 裕行, 巌佐 庸, 変動環境における保全戦略の数理的研究 : 最適保全努力と調査努力, 保全生態学研究, 2003, 8 巻, 1 号, p. 63-72, 公開日 2018/02/09, Online ISSN 2424-1431, Print ISSN 1342-4327, https://doi.org/10.18960/hozen.8.1_63, https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/8/1/8_KJ00003259287/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開
  6. 平成18(ネ)10003、著作権存在確認等請求控訴事件、平成18年12月26日、知的財産高等裁判所 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=33985
  7. 青空文庫(2005年3月25日作成)(底本:「中井正一評論集」岩波文庫、岩波書店、1995(平成7)年6月16日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/files/43711_18210.html
  8. 「第201回国会 参議院 財政金融委員会 第13号 令和2年5月26日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120114370X01320200526/92 2021年9月26日参照。
  9. 青空文庫(2010年4月20日作成、2016年10月7日修正)(底本:「戸坂潤全集 第二巻」勁草書房、1970(昭和45)年9月10日第7刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000281/files/3595_39048.html
  10. 「第130回国会 参議院 本会議 第2号 平成6年7月21日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/113015254X00219940721/7 2021年9月26日参照。
  11. 「第183回国会 衆議院 厚生労働委員会 第4号 平成25年3月22日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118304260X00420130322/61 2021年9月26日参照。
  12. 田中 敏嗣, 若林 芳樹, 広島市における大学生の距離・方向認知, 地理科学, 1985, 40 巻, 3 号, p. 154-167, 公開日 2017/04/20, Online ISSN 2432-096X, Print ISSN 0286-4886, https://doi.org/10.20630/chirikagaku.40.3_154, https://www.jstage.jst.go.jp/article/chirikagaku/40/3/40_KJ00003718917/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開
  13. 武田 祐子, 保育園利用者の時空間プリズムと立地・配分モデリング (「地理学は生活をいかにとらえるのか」 : 1997年度秋季学術大会シンポジウム), 地理科学, 1998, 53 巻, 3 号, p. 206-216, 公開日 2017/04/20, Online ISSN 2432-096X, Print ISSN 0286-4886, https://doi.org/10.20630/chirikagaku.53.3_206, https://www.jstage.jst.go.jp/article/chirikagaku/53/3/53_KJ00003720079/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開