長じる

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

動詞[編集]

じる (ちょうじる)

  1. (自動詞) 成長する。
    • 1925年、田山録弥「百合子」[1]
      自分ひとりしか知つてゐないといふ心持の周囲から、いろ/\な新しい芽が日増に長じて行つた。
    • 1951年、坂口安吾「安吾人生案内 その一〔判官巷を往く〕」[2]
      低脳だから人を刺したが、理解力や判断力や抑制力はモッと生長するであろうから、長じて兇悪人物になるとは限らない。
  2. (自動詞) (「~に長じる」の形で)~について巧みである。得意である。
    • 1925年、芥川龍之介「人及び芸術家としての薄田泣菫氏」[3]
      薄田泣菫氏の「茶話」は如何に薄田氏の諧謔に富み、皮肉長じてゐるかを語つてゐる。
    • 1928年、喜田貞吉「賤民概説」[4]
      男は弓馬に長じて、狩猟を本職とし、また剣舞、弄玉、人形舞わし、手品、軽業というような技芸を演じて、人の耳目を楽しましめる。

活用[編集]

ちょう-じる 動詞活用表日本語の活用
ザ行上一段活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
ちょう じる じる じれ じよ
じろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 ちょうじない 未然形 + ない
意志・勧誘 ちょうじよう 未然形 + よう
丁寧 ちょうじます 連用形 + ます
過去・完了・状態 ちょうじた 連用形 +
言い切り ちょうじる 終止形のみ
名詞化 ちょうじること 連体形 + こと
仮定条件 ちょうじれば 仮定形 +
命令 ちょうじよ
ちょうじろ
命令形のみ

[編集]

  1. 青空文庫、2019年12月27日作成(底本:「定本 花袋全集 第二十二巻」臨川書店、1995(平成7)年2月10日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000214/files/48962_69986.html
  2. 青空文庫、2009年10月8日作成(底本:「坂口安吾全集 11」筑摩書房、1998(平成10)年12月20日初版第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45916_36895.html
  3. 青空文庫、2002年5月17日作成、2004年3月7日修正(底本:「芥川龍之介全集 第十二巻」岩波書店、1996(平成8)年10月8日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/4304_15236.html
  4. 青空文庫、2013年1月11日作成(底本:「賤民とは何か」河出書房新社、2008(平成20)年3月30日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001344/files/54855_49946.html