存分

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

名詞[編集]

 (ぞんぶん)

  1. 思いのまま。満足思い通り充分。接続助詞的、副詞的にも用いられる。
    • 如水は忽ちかく観じて、長政に全軍をさづけ、大事起らばためらうことなく家康に附して存分の働きを怠るなと言ひ含め、お膳立はできたと九州中津へ引上げる。(坂口安吾「二流の人」)
    • 吾輩の足は三寸に足らぬ。よし水の面にからだが浮いて、浮いた所から思う存分前足をのばしたって五寸にあまる甕の縁に爪のかかりようがない。(夏目漱石「吾輩は猫である」)
    • さあ遠慮はいらんから、存分御笑いなさい(夏目漱石「吾輩は猫である」)
  2. (古用法) 考え意見
  3. (古用法) 恨み遺恨

形容動詞[編集]

  1. 思いのままのさま。満足なさま。思い通りのさま。
    • 勝負は水ものといい負け癖がつくと天下の横綱もだらしなく負け、もっと理知的な、存分に思考の時間を費している碁や将棋でも、存分に考えたあげくあべこべに大悪手をやらかすようなこととなる。(坂口安吾「俗物性と作家」)