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処する

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

日本語

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動詞

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する (しょする)

  1. (他動詞) (「○○□□処する」の形で)○○に□□という刑罰与える
    • 1924年、モーリス・ルヴェル、田中早苗訳「自責」[1]
      裁判官が苟にも一人の人間を死刑に処した後の気持は、貴方も十分に御承知でしょう。誰だって『あれが万一無実の罪であったら何うしよう』と惑わぬわけにはゆかぬのです。
    • 1940年、岸田國士「けむり(ラヂオ物語)」[2]
      果して、一週間後に、伊太利軍司令官の命令として、エリザを銃殺に処する旨の宣告が下されました。それと同時に、南チロル一帯の村々に不気味な騒音が湧き上り、国境には、再び嵐が来るかと思はれました。
    • 1947年、坂口安吾「道鏡」[3]
      そこで彼等は拷問せられて、廃太子道祖王、黄文王は杖に打たれて悶死をとげ、古麿と東人も拷問に死んだ。生き残った人々は流刑に処された。東人が杖に打たれて死んだので、この真相はもはや誰にも分らなかった。
  2. (他動詞, 文章語) (主に「を処する」「を処する」という言い回しで)うまく取り扱う
    • 1930年、佐々木味津三「老中の眼鏡」[4]
      「大丈夫の覚悟を申しておるのじゃ。国運を背負うて立つ者が、国難に当って事を処するには第一に果断、第二にも果断、終始果断を以て貫きたいものじゃ。命は惜しみたくないものよ喃」
    • 1947年、宮本百合子「社会生活の純潔性」[5]
      支配階級には、現在の歴史の中で矛盾の多い非生産的な階級でありながら、支配階級としての権力を保っていかれるという、その矛盾をはっきりと見てその矛盾がそれらの人々にもたらす生活変化、階級の没落に対して、正直に勇気ある人間らしい発展性で自分の身を処してゆくこと、それが生活の一つの純潔さの意味である。
  3. (自動詞, 文章語) (「○○処する」の形で)○○に応じ適切行動を取る。○○に対処する。
    • 1908年、大隈重信「我輩は何故いつまでもすべてに於て衰えぬか」[6]
      而してこの問題に処して更に経験を得て行くとすれば、失敗も見方に依ては甚だ有益且つ興味あるものである。我輩は如何なる困難、如何なる障碍に遭遇するも決して悲観しない。
    • 1936年、宮本百合子「含蓄ある歳月――野上彌生子さんへの手紙――」[7]
      或る時は理解ある母として、またあるときは理解ある友として。常に一種のグッド・センスをもって、現実の自身の家庭生活に処しておられる。これも、婦人作家の生きかたとして注目されるべき点です。
    • 1943年、海野十三「宇宙尖兵」[8]
      艇長は、そういうことなしに安全に平衡圏を突破できるものと考えていたのだ。どこかに計算のまちがいがあったわけだ。しかし艇長は、こういう場合に処する用意を考えて置いた。今それが始まっている。

活用

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処-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 処しない 未然形 + ない
否定 処せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
処される 未然形 + れる
丁寧 処します 連用形 + ます
過去・完了・状態 処した 連用形 +
言い切り 処する 終止形のみ
名詞化 処すること 連体形 + こと
仮定条件 処すれば 仮定形 +
命令 処せよ
処しろ
命令形のみ

関連語

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  1. 青空文庫、2020年10月28日作成(底本:「夜鳥」創元推理文庫、東京創元社、2003(平成15)年2月14日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000326/files/59492_72133.html
  2. 青空文庫、2011年5月28日作成(底本:「岸田國士全集6」岩波書店、1991(平成3)年5月10日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/files/46851_43491.html
  3. 青空文庫、2020年9月28日作成(底本:「桜の森の満開の下」講談社文芸文庫、講談社、2015(平成27)年4月15日第47刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/57482_71929.html
  4. 青空文庫、2004年11月1日作成(底本:「小笠原壱岐守」大衆文学館文庫、講談社、1997(平成9)年2月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000111/files/1483_16864.html
  5. 青空文庫、2003年9月14日作成(底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3452_12358.html
  6. 青空文庫、2018年1月27日作成(底本:「大隈重信演説談話集」岩波文庫、岩波書店、2016(平成28)年3月16日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001879/files/58087_63889.html
  7. 青空文庫、2003年1月16日作成(底本:「宮本百合子全集 第十巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/2887_8423.html
  8. 青空文庫、2003年12月7日作成(底本:「海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊」三一書房、1991(平成3)年5月31日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/3355_14011.html