いかれる

日本語[編集]

動詞[編集]

いかれる【行かれる・往かれる・逝かれる】

いくの尊敬表現。
- どうしたならいいだろうかと思っていると、天子が御猟にいかれるという噂が伝わって来た。（蒲松齢田中貢太郎訳『成仙』）
いくの受身形。
- 三人の子どもたちにとってもだいじなお母さまなのですから、いかれてしまうと、それこそたいへんでした。（鈴木三重吉『湖水の女』）
いくの可能表現。
- かれは急いで船に飛び乗りながら、/『日のある中に、潮来までは行けるかね？』/『さうですな。』まだ比較的若い船頭は、船尾のところで徐かに綱を解いてゐたが、仰ぎ見るやうにして、『何しろもうお天道さまがあんなところにゐますからな。暮れますな？　何うしても……』/『それでも半分くらゐは、明るい中に行かれるだらう？』（田山録弥『船路』）
利用価値がなくなる。駄目になる。
- 正月は、家内一同この少しいかれている鯛を睨みくらべながら、杯を手にしたのである。（佐藤垢石『にらみ鯛』）
(何かに) 過度に夢中になる。頭がおかしくなる。
- 概して都心の流行というものは、モガモボにせよ、いくらか当代の最高芸術に心得もあり、寄らば逃げるぞという人種のものであったが、戦後の都心はクリカラモンモンの熱血児に占領されて、日本中、アロハとパンパンに完全にいかれてしまった。（坂口安吾『安吾巷談田園ハレム』）

語源[編集]

動詞いく + 助動詞れる

発音[編集]

(東京式) いかれる [ìkárérú] (平板型 – [0])
IPA^(?): [ika̠ɾe̞ɾɯ̟ᵝ]

活用[編集]

活用と結合例

いか-れる動詞活用表（日本語の活用）
ラ行下一段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
いか	れ	れ	れる	れる	れれ	れろれよ

各活用形の基礎的な結合例
意味	語形	結合
否定	いかれない	未然形 + ない
意志・勧誘	いかれよう	未然形 + よう
丁寧	いかれます	連用形 + ます
過去・完了・状態	いかれた	連用形 + た
言い切り	いかれる	終止形のみ
名詞化	いかれること	連体形 + こと
仮定条件	いかれれば	仮定形 + ば
命令	いかれろいかれよ	命令形のみ

異表記[編集]

語義4、5に対して、

連体詞[編集]

いかれる【怒れる】

いかっている。
- 車は、町の信号も何もおかまいなく、怒れるけだもののように走っていく。（海野十三『火星兵団』）

語源[編集]

動詞いかる + 助動詞りの連体形

発音[編集]

(東京式) いかれる [ìkárérú] (平板型 – [0])
IPA^(?): [ika̠ɾe̞ɾɯ̟ᵝ]

いかれる

目次

日本語[編集]

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