略する

日本語

動詞

略する (りゃくする)

1. (他動詞) 必要なもののみを残しその他を省いて、単語や文章を短くする。
   • 1958年、江戸川乱歩「鉄人Ｑ」

     「トーチ、トーチ。」という、叫び声が聞こえました。トーチというのは、エレクトリック＝トーチという英語を略したもので、懐中電灯のことです。

   • 1997年、富田倫生「本の未来」

     ここで使っている「ＤＴＰ」は、デスク・トップ・パブリッシングを略した用語です。そのまま日本語に置き換えれば、「机上出版」。

2. (他動詞) その場面で本来ならば行うことが期待される行為（とくに口述や記述）を省略する。特定の事柄に関する口述や記述を全部省略する。
   • 1916年、河上肇「貧乏物語」

     次の表は米国の統計学者キング氏がその近業に載すところである。私はめんどうを避くるがため、氏がいかなる材料をいかに利用することによってこの表を調製するに至ったかの説明を略する。

   • 1922年、寺田寅彦「電車の混雑について」

     あまり詳しい計算などは略して、ごく概略に考えても、要するに少しおくれて停留所に来た車は、少し早めにそこに来た車よりも統計的に多数の乗客を収容しなければならない事は明らかである。

活用

活用と結合例

略-する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
略	し せ さ	し	する	する	すれ	しろ せよ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	略しない	未然形 + ない
否定(古風)	略せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	略される	未然形 + れる
丁寧	略します	連用形 + ます
過去・完了・状態	略した	連用形 + た
言い切り	略する	終止形のみ
名詞化	略すること	連体形 + こと
仮定条件	略すれば	仮定形 + ば
命令	略しろ 略せよ	命令形のみ