出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
- 原字の「𠤗」は象形文字、杖をついた人が道に惑うさまを象る[字源 1]。のち「子」を加えて「疑」の字体となる。「まどう」「うたがう」を意味する漢語{疑 /*ng(r)ə/}を表す字。また一説に「かしこい子供」を意味する漢語{㘈 /*ng(r)ək/}を表す字で、{疑}に当てるのは仮借とも[字源 2]。
- 商代甲骨文字で後に杖が省略されたり(𠤕)、道を表す「彳(亍)」が加えられた。
西周金文では「止」(足の形)や声符「牛/*[ŋ]ʷə/」が加えられた。
戦国晩期の秦文字では「彳」が略され「牛」が「子」に訛変した。この「子」+「止」が楷書で「疑」の右側に相当する。
- 『説文解字』では「子」+「止」+「匕」+「矢」と分析されているが、甲骨文字や金文の形を見ればわかるように、これは誤った分析である。
- ↑ 商承祚 『甲骨文字研究』 1932年、下篇46頁。
孫海波 「卜辞文字小記」 『考古学社社刊』第3期 1936年。
- ↑ 陳志向 『利用古文字資料研究《説文》諧声及相関問題』 復旦大学博士学位論文、2017年、114-116頁。
字典掲載
康熙字典 |
768ページ, 3文字目 |
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) |
22007 |
新潮日本語漢字辞典 (2008) |
7426 |
角川大字源 (1992) |
6121 |
講談社新大字典 (1993) |
10253 |
大漢語林 (1992) |
7241 |
三星漢韓大辞典 (1988) |
1178ページ, 8文字目 |
漢語大字典 (1986-1989) |
4巻, 2751ページ, 4文字目 |