出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
- 会意。「|」(直線)+「目」から構成され、まっすぐな視線を象る。「まっすぐな」を意味する漢語{直 /*drək/}を表す字。[字源 1]
- 『説文解字』では「十」+「目」+「𠃊」から構成される会意文字と説明されているが、これは誤った分析である。
- ↑ 張世超、孫凌安、金国泰、馬如森 『金文形義通解』 中文出版社、1996年、2988-2989頁。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、870頁。
林志強等評注 『《文源》評注』 中国社会科学出版社、2017年、481頁。
「直」を音符とする形声文字 (諧声域=*TƏK)
| | 端母 | 透母 | 定母 |
一等 | 平声 咍韻 |
| | |
上声 海韻 |
| | |
去声 代韻 |
| | |
入声 德韻 |
德惪𢛳 | 𥊸 | |
| | 知母 | 徹母 | 澄母 |
二等 | 平声 皆韻 |
| | - |
上声 駭韻 |
- | - | - |
去声 怪韻 |
- | - | - |
入声 麥韻 |
| - | - |
| | 章母 | 昌母 | 常母 |
三等A | 平声 之韻 |
| | |
上声 止韻 |
| | |
去声 志韻 |
| 埴 | |
入声 職韻 |
䐈 | | 殖植埴㨁 |
| | 知母 | 徹母 | 澄母 |
三等B | 平声 之韻 |
| | |
上声 止韻 |
| | |
去声 志韻 |
置 | | 値植㨁𠍜 |
入声 職韻 |
稙 | 淔 | 直犆䐈𡸜 |
- まっすぐな、曲がっていない。
- 曲がったものを、まっすぐにする。
- 間違っているものを正しくする。なおす。
- 曲がらないで、まっすぐに。
- (じき)
- 間にものが介在していない様、直接。
- 関連語:直直
- 帰る時も舟から直に本所側に上って、自分の屋敷へ行く、まことに都合好くなっておりました。(幸田露伴『幻談』)〔1938年〕
- (主に時間が、空間の場合、移動を伴いその時間が)非常に接近していること。
- ここを退院なさると直でした、御亡くなりになったのは(夏目漱石 『変な音』)〔1911年〕
- もうよほど歩いたから、発光路も直だろうと、道程を聞いて見ると、ちょうど半途だというので、それからまた勇気を附けて歩きましたが、歩いても、歩いても発光路へは着かない。(高村光雲 『幕末維新懐古談 栃の木で老猿を彫ったはなし』)〔1929年〕
- 関係が非常に近縁であること。
- 直の妹なんざ、随分脱兎のごとしだけれど、母様の前じゃほとんど処女だね。(泉鏡花『婦系図』) 〔1907年〕
- (じか)
- 間にものが介在していない様、直接。
- 君は農家を訪れたことがあるか。入口の庭が広く取ってあって、台所の側から直に裏口へ通り抜けられる。(島崎藤村 『千曲川のスケッチ』)〔1912年〕
- (あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
- (すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
- (じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
- 「私ももう直五十二になります」 自分は老師のこの言葉を聞いた時、なるほど若く見えるはずだと合点が行った。(夏目漱石 『初秋の一日』)〔1912年〕
字典掲載
康熙字典 |
800ページ, 5文字目 |
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) |
23136 |
新潮日本語漢字辞典 (2008) |
7712 |
角川大字源 (1992) |
6373 |
講談社新大字典 (1993) |
10636/61/62/63/68 |
大漢語林 (1992) |
7504 |
三星漢韓大辞典 (1988) |
1215ページ, 1文字目 |
漢語大字典 (1986-1989) |
1巻, 61ページ, 7文字目 |