コンテンツにスキップ

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

漢字

[編集]

字源

[編集]
  • 象形。人のを象る。「はな」を意味する漢語{鼻/*bi(k)-s/}を表す字。のち仮借して「みずから」を意味する漢語{ /*dzik-s/}に用いる。
    • 自分を指すのに鼻を指したことから「みずから」の意味に使われるという説があるが、これは根拠のない憶測に基づく民間俗説である。実際には音韻的類似による仮借にすぎない。ただ{鼻/*bi(k)-s/}と{自/*dzik-s/}は音韻的に離れているので、単純な仮借とは言いがたく、以下のような説がある。
    1. 「自」は、元々DZI音域で「はな」を意味する漢語{鼻}を表していたが、後に仮借して「みずから」を意味する漢語{自/*dzik-s/}を表すようになった。
      一方で、「はな」を意味する漢語はDZI音域からP系統の音/*bi(k)-s/に変化した。
      つまり、「自」には{鼻/*bi(k)-s/}と{自/*dzik-s/}の2つの語があったが(一形多用)、その後{鼻}は音符「畀 /*PI(K)/」を付加して「鼻」字に分化したと考えられる(鼻#字源参照)。[字源 1]
    2. 「自」の上古音を*s.b-のような複合子音を用いて/*s.[b]i[t]-s/と再構し、*s.[b] i[t]-s > *zbit-s > *bzit-s > *dzit-sと音が変化したことで、{鼻/*m-bi[t]-s/}と{自/*s.[b]i[t]-s/}を諧声可能とした。[字源 2]
甲骨文字 金文 簡帛文字 古文 小篆 流伝の古文字
西周 戦国時代 説文
(漢)
《六書通》
(明)

<参考文献>

[編集]
  1. 裘錫圭中国漢字学講義 (東方学術翻訳叢書)』P.12とP.227(裘錫圭はこのような借用を形借けいしゃと呼んでいる)
  2. William H. Baxter, Laurent Sagart『Old Chinese: A New Reconstruction』P.142

意義

[編集]
  1. おのれ
  2. みずからおのずから
  3. (前置詞的。始点を表す)~から。~より

日本語

[編集]

教育漢字 (第2学年)

[編集]

熟語

[編集]

中国語

[編集]

*

副詞

[編集]
  1. みずからおのずから

介詞

[編集]
  1. (文語 移動の起点)~から。~より
  2. (文語 時間の起点)~から。~より。

類義語

[編集]

対義語

[編集]

接尾辞

[編集]
  1. (動詞に前置し「自ら~する」の意の動詞を形成)

熟語

[編集]

朝鮮語

[編集]

*

熟語

[編集]

ベトナム語

[編集]

*

前置詞

[編集]

tự, từ

  1. から、~より

代名詞

[編集]

tự

  1. 自身

文字情報

[編集]
U+81EA, &#33258;
CJK 統合漢字-81EA

[U+81E9]
CJK Unified Ideographs
[U+81EB]
文字コード (文字集合規格)
-
日本
中国
台湾
韓国
  • KS X 1001: 0x6D3B
漢点字 六点漢字
字典掲載
康熙字典 1000ページ, 7文字目
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) 30095
新潮日本語漢字辞典 (2008) 9753
角川大字源 (1992) 8037
講談社新大字典 (1993) 13381
大漢語林 (1992) 9159
三星漢韓大辞典 (1988) 1452ページ, 1文字目
漢語大字典 (1986-1989) 5巻, 3046ページ, 1文字目