出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
- 象形。熊またはそれに似た動物を象る[字源 1]。ある種の動物を指す漢語{能 /*nəə/}を表す字。のち仮借して「できる」を意味する漢語{能 /*nəəng/}に用いる。
- 説文解字では「肉」や「㠯」に従うと解釈されているが、甲骨文字や金文の形を見ればわかるように、これは誤った分析である。
- ↑ 張世超、孫凌安、金国泰、馬如森 『金文形義通解』 中文出版社、1996年、2424-2426頁。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、752頁。
林志強等評注 『《文源》評注』 中国社会科学出版社、2017年、13-14頁。
単育辰 『甲骨文所見動物研究』 上海古籍出版社、2020年、42-46頁。
- (読みはすべて「のう」)
- 物事を成し遂げることのできる力。はたらき。
- ききめ。効能。
- 得意とすること。自慢とすること。例:早いばかりが能ではない。
- わざ、芸(芸能)の意。時代により、「猿楽の能」、「田楽の能」、「延年の能」のように用いられた。
- 鎌倉時代に始まり、現代まで続く、日本の伝統演劇。文学、演劇、舞踊、声楽、器楽の要素を含む総合芸術である。また、部分的に仮面劇である。猿楽、「猿楽の能」とも呼ばれる(猿楽などは、今日では歴史的な文脈でのみ使われる)。→能楽(名詞)1,2。
- 日本の古代にまでさかのぼる祭祀的な宗教性を底に持つことが特徴の一つ。演劇としては、除去できる要素をそぎ落として極度に単純化した舞台構成や演出が特徴であるが、一部の作品では派手な要素も加わる。ほぼすべての作品に狂言(名詞)1の役者である狂言方が参加する。
- 能楽の公演(能会)のこと。
- 能楽の公演の形式の呼称の構成要素。薪能、新春能、月並能、例会能、など。
- 能楽の公演の名前を構成する要素。「東西交流能」、「南北月並能」、「富士能」のように、固有名詞化したり、シリーズ名としたりする。
- 現代の能会(番組)における上演形式の分類上の「能」。半能、舞囃子、仕舞、素謡、などに対して、一番(一曲)の演目を完全な形で上演することを言う。
字典掲載
康熙字典 |
981ページ, 16文字目 |
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) |
29454 |
新潮日本語漢字辞典 (2008) |
9579 |
角川大字源 (1992) |
7904 |
講談社新大字典 (1993) |
13128 |
大漢語林 (1992) |
4734 |
三星漢韓大辞典 (1988) |
1433ページ, 11文字目 |
漢語大字典 (1986-1989) |
3巻, 2074ページ, 1文字目 |
- ↑ 江戸時代(康煕字典が広まる前)まで伝統的に使われてきた字形で、現在の字形が広まったのは明治時代以降である(『解説 字体辞典(普及版)』pp.472。 江守賢治 三省堂 1998年)