さすが

出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
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日本語[編集]

語源1[編集]

  • 副詞的複合語「さすがに」((副詞)+(動詞)+がに(副助詞):そうするばかりに)の「に」を活用語尾と捉え、形容動詞を逆生成したもの。

形容動詞[編集]

さすが【当て字:

  1. 評判実力などにふさわしいだけものを確認し、改めて感心すること。やはり大したものだ。それだけのことはある。
    • みると、作事方の責任者である、益田藤兵衛と中村兵庫のふたりが、最前、阿波守へ平伏した庭先の場所から、一寸もいどころをかえずに、そのまま、腹を切っていたのである。(中略)/「兵庫は偉い! 藤兵衛もさすがだ」/こう言いながら、竹屋三位、その騒ぎの中をぬけて居間へ入った。(吉川英治鳴門秘帖』)
  2. (古語)ある物事一応認めながら、一方でそれとは反対気持ち残ったりして、そのまま容易に認めることができないこと。そうも言っていられないこと。裏腹な態度を見せたり、逆の気持ちを抱いたりすること。
    • 人知れぬ、御心づからのもの思はしさは、 いつとなきことなめれど、かくおほかたの世につけてさへ、わづらはしう思し乱るることのみまされば、もの心細く、世の中なべて厭はしう思しならるるに、さすがなること多かり。(人に知られていない、ご自身から求めての恋の悩みは、いつものことのようではあるが、このように世間のもろもろのことでも、めんどうにお悩みになることばかり増えて、どうにも心細く、世の中がすっかり嫌になっておしまいになるものの、そうも言っていられないことが多くある。)(『源氏物語』)
発音[編集]
さ↗すか゜

副詞[編集]

さすが【当て字:

  1. (また「さすがは」「さすがに」「さすがの」などの形で)予想期待、評判のとおりで、納得するさま。やはり。たいしたもので。
    • さすがは、大名道具だて。」「同じ道具でも、ああ云う物は、つぶしが利きやす。」「しちに置いたら、何両貸す事かの。」「貴公じゃあるまいし、誰が質になんぞ、置くものか。」ざっと、こんな調子である。(芥川龍之介『煙管』)
    • さすがに朝夕をおろそかにしない人の心を籠めて書いたものは、何年たつて開いて見ても好い。(島崎藤村『伊香保土産』)
    • うまい口実をかまえてイタチ組から離れたいものだが、と考えた。/しかし臆病な男のこと、口実をかまえて言いだす気力がない。いよいよ船にのる。船がうごきだす。必死の思いはさすがのもので、/「ムムムムム……」/彼は脇腹をおさえて苦しみはじめた。(坂口安吾『明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密』)
    • そして坂下の、酒も食ひものも絶世悪味だといふので普段から誰もがたぢろぐすしやへ案内した。/皆なは、さすがの悪味に辟易したのか飲めさうもなく白けたのに、こつちはひとりで大馬鹿なことばかり喋舌りながら憎態に大きな徳利を五六本も空にしたといふ。(牧野信一『五月六日』)
  2. (「さすがに」の形で)ふつうのものを上回るような能力や意思、性質、勢いなどをもってしても動かしがたい何らかの特別な状況や事情のため、やむを得ずそうせざるをえない、ということ。あるいは、ふつうのものを下回るような能力やふつう以上に抑制的な意思、性質などであっても、何らかの特別な状況下では、そのようなことが可能となる、ということ。どうしたって。いくら何でも。いたしかたなく。やはり。
    • 畑も手伝いたいと、前はおっしゃっていたが、いちど私が、およしなさいと申し上げたのに、井戸から大きい手桶ておけで畑に水を五、六ぱいお運びになり、翌日、いきの出来ないくらいに肩がこる、とおっしゃって一日、寝たきりで、そんな事があってからは流石に畑仕事はあきらめた御様子で、時たま畑へ出て来られても、私の働き振りを、ただ、じっと見ていらっしゃるだけである。(太宰治斜陽』)
    • 関所を過ぎると、さすがに皆は、ほっと安心した。(菊池寛『入れ札』)
  3. (「さすがの~も」「さすがの~でさえ」などの形で)ふつうよりも実力があるものでも、特定の条件下では、そうせざるをえないということ。あるいは、ふつうよりも能力が劣るものでも、特定の条件下では、そうできるということ。さしもの~も。あれほどの〜ですら。
    • さすがの酒豪たちも、ウイスキイのドブロクは敬遠の様子でした。(太宰治『美男子と煙草』)
    • かごいりチミーは ぽかぽか きしべの おちついた わがやへ かえりたくなっていました。 たべものも あいませんし、 うるさくて ねむれませんし。 なんにちか すると、 げっそりしてきたので、 さすがの まちねずジョニーも きづいて、 どうしたのかと たずねます。(ベアトリクス・ポッター『まちねずジョニーのはなし』)
  4. (古語)(また「さすがに」の形で)ある物事を認める一方で、特定条件下では、それとは反対の気持ちを抱くさま。とは言え。そうは言っても。しかし。
    • かやうに憎からずは、聞こえ交はせど、け近くとは思ひよらず、さすがに、言ふかひなからずは見えたてまつりてやみなむ、と思ふなりけり。(このように好意を持って、手紙をやりとりなさるものの、深い関係になろうとまでは思っていない、とは言っても、それなりの女だくらいには思っていただいたところで終わりにしよう、と考えるのだった。)(『源氏物語』)
発音[編集]
さ↗すか゜
類義語[編集]

語源2[編集]

名詞[編集]

さすが

  1. 腰刀こしがたな短刀
  2. 細工に用いる小刀こがたな

語源3[編集]

名詞[編集]

さすが

  1. 革帯あぶみ鉸具かこ作り付けて、力革ちからがわ刺し止める状の金具