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出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』

漢字

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字源

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  • 会意か。「目」と十字型の筆画からなるが、形の由来は不詳。のち仮借して「人々」「たみ」を意味する漢語{ /*min/}に用いる。字源は後述の通り諸説が有るが不明。『説文解字』などの古字書でも字源の記載がなく、仮借の説明のみがなされていた。
    • 甲骨文字にはこの字と推定されるものがあるが、後述のように別字の疑いがあり、古くは甲骨文字の時代にはなかった字ではないかとされていた。「民」と同定されている字は金文以降のものである。[字源 1]
    •  許慎『説文解字』では字源について明示せず。段玉裁の『説文解字注』は、昔は「人々のことを萌といい、それを後の愚かな人が書き誤って氓としたのである。大抵、漢の人が(人々の意味で)萌と書いていた場合、浅人(後世の愚かな人)が多く改めて氓や甿と書いてしまうのである」とし、萌の仮借とする。ただし段玉裁も字源については明示していない。[字源 1]
    • 金文研究家の林義光は『文源』で、金文では草木の萌え出ずる形に見えるため、原義「萌」が「草木がたくさん生える」→「民衆」という意味に使われたのではないかとした。永沢要二もこの説を正しいとした。[字源 1]
    • 加藤常賢は段玉裁の説を発展させ「萌の仮借で本来の字源はわかりにくいが、金文は錐の形ではないか」と主張し、旺文社『漢字典』などもこの解釈に従うが、永沢要二からこの説は否定されている。永沢は「古文や金文の字形はそんな形に見えない」と疑問を示した。[字源 1]
    • 高田忠周は「母の省略した字」として、「一切の民は母から生まれる」と述べたが、この説明は漢字の形・音・義の三要素ともすべて異なっていると永沢要二から批判されている。[字源 1]
    • 郭沫若・白川静・藤堂明保の「で突き刺すさまを描いたもの」という説[字源 2]があるが、それを支持する証拠はなく、そういう刑罰が存在したことや、目を潰された奴隷がいた史実もない。永沢要二は当時の刑罰に眼を突き刺すものがないことを『書経』五刑や当時の金文に残っている周王の布告から明らかにしている。永沢は眼を突き刺して奴隷を作って何をやらせようとしたのか誰も説明しないのはおかしいと批判した。[字源 1]この説を始めに唱えた郭沫若は甲骨文字を見て「これは人々の目を潰して奴隷にした様を描いたのだ」と推定し、彼が信奉していたマルクス主義歴史学の「奴隷制」に殷代を比定したが、字形から意味を勝手に創作したものに過ぎないと加納喜光から批判された。[1]
    • 漢語 /*mraang/}を本義とする説があるが、{民 /*min/}とは韻が異なるため誤りである。
    • 落合淳思は小屯南地857「辛未鼎(貞)其A多B」[字源 3]のAを「民」字、Bを「宰」字と同定し、これを根拠として「民」を「目をつぶす」意とするが[字源 4]、既にAは墨刑に関する字という解釈[字源 5]、さらにこれを批判してAは首と縄を象った部分と土に従い、縣あるいは梟首の梟をあらわす字であるという解釈が提示されている[字源 6](なお、Bは「宰」ではなく「隷」字と同定されている)[字源 7]
金文 小篆 流伝の古文字
西周 説文
(漢)
《六書通》
(明)
  1. 1 2 3 4 5 6 永沢要二「民の字の意識の変遷」梅光女学院大学国語国文学会、1966論文のリンク
  2. 季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、855頁。藤堂明保『漢字語源辞典』・白川静『常用字解』も同じ説を説く。
  3. 小屯南地857、国学大師、2025年1月31日閲覧。
  4. 落合淳思『殷-中国史最古の王朝』中公新書2303, p.106 および『漢字の構造:古代中国の社会と文化』中公選書108, p.251.
  5. 宋鎮豪「[甲骨文中所見商代的墨刑及有関方面的考察 https://xianqin.org/xr_html/articles/kychg/343.html]」中国社会科学院先秦史研究室、周忠兵「[従甲骨金文材料看商周時的墨刑 http://www.360doc.com/content/16/1122/15/32458067_608535739.shtml]」『出土文献與古文字研究』第4輯 (2011), p.p.14-32, ともに2025年1月31日閲覧。
  6. 張惟捷「[説殷卜辞中「縣」(梟)字 http://fdgwz.org.cn/Web/Show/2051]」復旦大学出土文献与古文字研究中心学者文庫、2013年5月16日掲載、2025年1月31日閲覧。
  7. 上記文献の他、黄徳寛、陳秉新著(陳祥、王勇萍、高橋俊訳、遠藤隆俊監訳)『漢語文字学史』(汲古書院)、p.259を参照。

意義

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  1. たみ支配人々
  2. に対応し、その行為対象となる人々。

関連語

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類義語
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対義語
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日本語

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教育漢字 (第4学年)

名詞

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  1. たみ自治体を構成する人々。
  2. ミン)「」「」が行なう業務の対象となる集団
  3. ミン民間の略。

接尾辞

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  1. ミン集団を構成する人々。
    • 地区民。ネット民

熟語

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中国語

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語源

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  1. Axel Schuessler, ABC Etymological Dictionary of old chinese, University of Hawaii Press, 2006, p. 75。
  2. 季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、855頁。

熟語

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朝鮮語

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熟語

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ベトナム語

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名詞

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  1. 市民

熟語

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コード等

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文字コード (文字集合規格)
-
日本
中国
台湾
  • Big5: 0xA5C1
  • CNS 11643: 1面 0x4661
韓国
  • KS X 1001: 0x5A45
字典掲載
康熙字典 598ページ, 1文字目
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) 17028
新潮日本語漢字辞典 (2008) 5800
角川大字源 (1992) 4785
講談社新大字典 (1993) 8163
大漢語林 (1992) 5752
三星漢韓大辞典 (1988) 988ページ, 32文字目
漢語大字典 (1986–1989) 3巻、2131ページ、1文字目